世界のインフルエンザ事情【医師にインタビュー】

【医師にインタビュー】世界のインフルエンザ事情

今年は例年より早めにインフルエンザが流行ってきましたね。これは、海外旅行から帰国した旅行者が海外のインフルエンザを持ってきてしまったため、こんなに早く流行がきたのでは…と言われています。


日本では真冬の時期に流行る脅威のインフルエンザ。季節の病という印象が強いですが、他の国ではどうなのでしょうか。

 


「寒い季節に流行るもの?だったら寒くない地域はどうなの?予防接種は世界でも一般的?」など、疑問を医師にぶつけてきました。

今回は、日本人駐在員が多い国、フィリピンとドイツに在住経験のある上野医師にインタビューをしてきました。上野医師は、女性のための女性医師によるオンライン医療相談サービス「アナムネ」で活躍しています。

上野 由加里 医師
2003年国立大学医学部を卒業。大学病院、地方総合病院で整形外科医として勤務。特に子供の整形外科領域の診療に力を注ぐ。現在はドイツに移住し子育てに奔走中。

 
ーフィリピンでは幼稚園で働いたご経験もお持ちとのことですが。

はい。首都マニラにある日系の幼稚園で、いわゆる「保健室の先生」として働いていました。園児は、日本企業の駐在員のお子様や、両親のどちらかが日本人というお子様が多かったです。

参観日に保護者向けに健康に関するお話をしたり、個別の相談を受けたりしていました。海外の病院での診断に不安を覚えて、セカンドオピニオンとして相談してくる保護者様が多かったです。

特にこの季節に多かったのは、「年末年始に日本に帰国するけど、インフルエンザ予防接種は受けた方がいいのか?受けるなら、帰国前にフィリピンで受けておくのと帰国後に日本で受けるのでは、どちらがよいか?」といったご質問でしたね。

 

ーインフルエンザが猛威を振るう時期に帰国ですから、気になりますよね。予防接種に関して、どのようなアドバイスをされていたのでしょう?


子ども(特に乳幼児)とお年寄りは予防接種を受けておいた方が安心ですね。免疫がまだ未熟であったり体力がないので重篤化しやすく、インフルエンザ脳症といって命に関わる状態になってしまう可能性もありますし。

あとは、呼吸器や心臓などの持病がある方は、インフルエンザによって、それが悪化する可能性もありますので、予防接種を受けた方が良いでしょう。

毎年WHOが北半球と南半球で流行るインフルエンザウィルスの型を予測します。各国はそれに基づいてワクチンを製造または輸入します。なので、フィリピンと日本では、接種できるワクチンの種類が違う場合があります。

フィリピンでワクチン接種しても、日本で流行するインフルエンザに必ずしも有効とは言えないので、冬の期間にどちらの国に長くいるかということでワクチン接種をする国を判断するようにアドバイスしていました。


ー常夏の国、フィリピンでもインフルエンザはあるのですね!


そうですね。北半球では、寒くて乾燥している時期にウィルスが活発になって流行るイメージがありますが、亜熱帯のフィリピンでは年間を通して流行のピークがある病気です。


ードイツでのインフルエンザ事情について、お聞かせいただけますか?


丁度、現在在住のドイツで、1歳の我が子にワクチン接種をさせようと思っているのですが、受けられるクリニックを探して奔走していたところなんですよ(笑)


ドイツではインフルエンザ予防接種をお年寄りには推奨しているのですが、子どもへの接種は日本ほど一般的ではない様です。ドイツ人のママ友に聞いても、皆さん「子どもは受けないわよ」と言うんですよね。でも我が家は年末年始に日本に一時帰国予定なので、接種を希望しています。


日本人駐在員たちは、子どもへのインフレンザワクチンを打ってくれるクリニックの情報交換をしています。日本語通訳がいるクリニックはいくつかあるのですが、インフルエンザワクチンを子どもに打ってくれるクリニックは多くないです。個人主義の国ですし、ワクチン接種に反対な人も多い印象ですね。

 

ーインフルエンザになったときの対処法は、日本と同様ですか?


ドイツでも、フィリピンでも、インフルエンザの検査は日本ほど一般的ではないようです。


日本人が多く利用する病院だと検査してくれる医師もいるようですが、以前フィリピンで夫にインフルエンザ症状が出たので、救急病院に連れて行って検査を医師にお願いしたのですが、「これは風邪の症状の延長なので、自宅でゆっくり休んでください」と言われて終わりでした…


ドイツでは、風邪を引いても、日本のように風邪薬は処方されません。「風邪用のハーブティーがあるので、それを飲んで仕事を休んで、自宅でゆっくり治してくださいね」と言われました。恐らくインフルエンザ症状が出ていたとしても、同じ対応をされるかもしれないですね。


ドイツは医師も薬に頼らずに自然治癒力で治しましょうという風潮が強くて、インフルエンザ症状が出ても同じで、あえてインフルエンザ検査をしてくれる病院は少ないと聞いていますので。


風邪を引いたら、医師に1週間仕事を休むようにという診断書を書いてもらって、ゆっくり休む環境です。


家の外に出ないから、爆発的な流行にならないのではとも言われています。日本みたいに無理をして、ゴホゴホしながら出社するということはないですね(笑)それで社会が回っているのがすごいというか不思議です。

 


ー日本では何月にワクチン接種するのがいいでしょうか?


遅くとも11月中に接種するのがいいでしょうね。

通常成人では1回の接種で2週後から血中の抗体の量が増え始め、4週でピークに達し、3~5カ月後から低下しますが、ウィルスが侵入してくると免疫系が反応して抗体の量はまた増えるため、ワクチンの効果はもっと長く続く可能性もあります。


3〜5ヶ月で効果が切れると思っている方が意外と多いんですけど、じり貧で免疫が続く人もいれば、そもそも免疫ができない人もいます。過去のワクチン接種歴やインフルエンザ罹患歴も含めて、免疫反応は個人差が非常に大きいんですよ。


ワクチンはインフルエンザの重症化を抑えられるので、成人でもドイツの様にゆっくり堂々と仕事を休めない方、体力に自信がない方は、接種しておくといいかもしれないですね。


とはいえ、無理は禁物です。みなさん、体調管理に気をつけて、インフルエンザや風邪の諸症状が出た場合には、ゆっくり休養を取る様にしてくださいね。

ワクチン接種や対処法について不安や疑問があれば、気軽にアナムネで相談してみてください。

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