花粉症のモヤモヤ〜薬や対処法について~【医師にインタビュー】

花粉症のモヤモヤ〜薬や対処法について~

この時期、花粉の飛散情報を毎日気にされている方も多いのではないでしょうか?今や花粉症は国民病とまで言われ、話題や情報には事欠かない一方で、情報過多で迷子にもなりがちです。花粉症になってしまったら、症状をなるべく抑えて快適に過ごしたいのはみんな同じ。

そこで、花粉症の気になるあれこれについて、アナムネ医師の伊藤先生に直接お話を伺いました。正しい知識を持った上で、最善の行動をとって、苦しい季節をのりきりましょう。


伊藤綾子医師 2009年国公立大学医学部卒業後、2015年耳鼻咽喉科専門医取得。現在は地方の総合病院で耳鼻咽喉科医師として勤務中。自身も花粉症であることから、特に熱心に取り組んでいる。いろいろな薬を試してきた経験から、「誰にでも必ず最適な治療薬が存在する」として患者に向き合っている。


そもそも花粉症とは?花粉の状況は?

花粉症とは、どのような病気なのでしょう?

自分の身体の本来持っている免疫力が、花粉に対して過剰に働きすぎてしまって、鼻水やくしゃみで身体の外に出そう出そうというアレルギー反応、それが花粉症の症状なんです。

花粉症の代表的な症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどです。

原因としては、もともとアレルギー体質かどうか、遺伝的なものが大きいと言われています。高齢の方などに少なく、だんだんと低年齢化している傾向があるのは、生活環境や花粉飛散量の増加が一因にあるかもしれません。お子さんの場合、親御さんがアレルギー体質ですと、花粉症になる可能性は高いです。

遺伝に加えて、ストレスや食生活などの要因の他、大気汚染のある都市部や、スギの多い山の近くなどの生活環境の違いも要因となりうるため、一概に原因を特定することは難しいです。

昨今の花粉の飛散状況について教えてください。

一般的に春の時期ですと、スギ花粉とヒノキ花粉ですが、スギだと2〜4月くらいが飛散量とともに症状がピークになりますね。ヒノキ花粉は1〜1.5ヶ月くらい遅れて、ゴールデンウィーク近くが症状のピークになります。

飛散量については年によってまちまちで、前年の夏の天候が大きく関わっています。アレルギー薬を出している製薬メーカーが前年比で飛散予報を出しているので参考にしてみてください。

 

花粉症はずばり、治る病気なんでしょうか?

アレルギー反応そのものは、人間の身体が異物を外に出そうとする正常な反応なので、完全に治すことはできません。

アレルギー免疫療法といって、少量ずつの抗原を入れ続けることで花粉抗原に対する防御反応を鈍くする治療法があり、治すということに近い治療法かもしれません。

 

放っておくと重症化してしまうのでしょうか?

その年の花粉の飛散量により、症状の有無に違いが出ることはあります。

季節性のものなので、放っておいても花粉飛散時期を過ぎれば症状が治まることがほとんどですが、これまで無症状や軽症であっても、何の対策もせずに大量の花粉を吸い込み続けていると症状が強く出ることはあるので、最低限マスクなどで抗原回避の対策はした方が良いと思います。

 

普段の生活でできることはありますか?

一番は抗原回避といって、自分の身体に花粉を摂取しないようにすること。マスクをつける、花粉のついた服を室内に持ち込まないようにする、などこまめな対応が必要です。

また、ストレスや睡眠不足、疲れが重なってくるとアレルギー症状は悪くなりやすいんです。とても簡単な話なんですが、よく寝て、食事でしっかり栄養をとる、といった規則正しい生活が大切です。

 

マスクの機能は進化しているのですか?

まず、花粉対策においては、マスクは最も簡便かつ有効な方法なのでおすすめします。高性能マスク云々より、花粉が入ってこないよう正しい付け方をしているか、その使用方法の方が重要です。

インフルエンザウィルスなどに比べて、花粉は分子が大きいので、正しく付けさえすればどんなマスクでも十分防げるはずです。

 

花粉症の診断はどのようにする?

花粉症かな、と思ったら、医師にどんな情報を伝えればよいですか?

みなさんどういう訳か、受診のハードルが高いと思われていませんか?花粉症と診断されたがらない傾向というか、若い男性など「花粉症を認めたら負け」みたいな(笑)同じ医療者でもそういう方はいらっしゃるくらいで。

ですから、花粉症かも? と自覚して受診してみようという方は、それだけでいいんです。症状に悩んでいたり、我慢したりしないで、できるだけ早く受診してみてください。

 

血液検査をして確定診断する方がよいのでしょうか?

アレルギー検査には大きくわけて血液検査によりそれぞれのアレルゲンに対する抗体量を調べる血清特異的IgE検査と、アレルギー原因物質を含んだアレルゲンエキスを皮膚に垂らしたり少量を皮内に注射する皮膚テストがあります。ですがそもそも検査結果が陽性でも症状のない方もおり、アレルギー検査だけでは確定診断はできません。

一番大事なのは実際の患者さんの症状の有無や程度なので、アレルギー検査はあくまで参考であり、実際の症状や患者さんからの問診などから総合的に診断しています。

ただ患者さん自身が、自分の抗原が何なのかを把握しておくことで、ご自身で抗原回避の対策をしたり早めに医療機関を受診したりして症状が出る前に治療を始められるメリットはあると思います。

ですので、必須の検査ではありませんが、受けたことのない方は一度受けてみてもいいかもしれませんね。

薬や治療法について詳しく

処方された薬の効果がない場合、どうすればよいのでしょうか?

違う薬を試すとをおすすめします。アレルギーの薬にはたくさんの種類があるので、別の薬を試すことでその人に合うお薬が見つかることがあります。

一度受診しただけで薬が効かないからと通院をやめてしまったり、別の医療機関を転々とされたりする方がいらっしゃいますが、「この薬が効かない」というのも大事な情報なので、まずは再度同じ医療機関を受診して薬が効いていないことを伝えて医師に相談してください。

私自身も中学生の頃から花粉症があり、初めはただ我慢していて。その後医療機関を受診しても薬があまり効かず、そういうものなのだと思って過ごしていました。

ですが医師になってからアレルギーの薬にはたくさん種類があることを知り、いろいろな薬を順番に試してみたところ自分にピッタリ合う薬を見つけることができ、今は毎年の花粉症シーズンも非常に快適に過ごせています。

だから、一度処方された薬を飲んで効かなくても、諦めないでほしいです。

 

眠気も体質によるのですね。一般的に、副作用で眠気の出る薬の方が効果が高いのですか?

必ずしもそうとは言い切れません。

眠気が出なくて効果が高い薬がベストなので、医師もまずはできるだけ眠気のでにくく効果のありそうな薬から処方するようにしているのですが、それらが効果不十分だと、多少眠気の副作用があっても効果の強い薬に徐々に変更していく傾向があるので眠気=効果が強いイメージがつきやすいのかもしれないですね。

ただあくまで眠気の副作用の有無については個人差が大きく、まったく副作用が出ない方もたくさんいますし、薬の種類によっても頻度が異なるのでその人に眠気の副作用が出るかどうかは薬を飲んでみないとわからないのが正直なところです。

市販の風邪薬などで眠気が出やすいという方は、アレルギーの薬でも眠気が出やすい傾向はあると思います。

 

市販の薬と処方薬の違いはあるのですか? 忙しい人は市販薬を試すのもありでしょうか。

処方薬の中で古くからある一部の薬が市販薬となっています。

そのため比較的新しい薬については市販化されていないものが多く、医療機関でしか処方できない薬が他にもたくさんあります。

医療機関を受診する余裕がない方は、まずは市販の飲み薬を試してみるのはありだと思います。その際、もし効かなくても、薬剤師さんに相談して他の薬を試すという方法を知っておいてもらいたいです。

それでも症状の改善がなかった場合、その情報を持って病院に来ていただければ別の処方薬を試してもらうことができますし、詳しい診断ができます。

ただし市販の点鼻薬には血管収縮薬が含まれていることが多く、濫用することで薬剤性鼻炎という病気になってしまう可能性があるので、あまりおすすめはできません。市販の点鼻薬についてはまずは薬剤師さんに相談して血管収縮薬の含まれていない鼻噴霧用ステロイド薬を選ぶと良いと思います。

巷の情報の真偽は?

花粉症によく効く食べ物があると聞くことがありますが?

そうですね、花粉症に効く食べ物はいろいろ言われているようですが、科学的根拠に乏しいものがほとんどです。できる事について言えばバランスの良い食事が基本なので、特定の食べ物に偏らずに三食バランス良く食べることがよいですね。

鼻のレーザー治療について、実際はどうなのでしょう?

鼻の粘膜を薄くレーザーで焼くことで、鼻水の分泌や鼻詰まりを起こしにくい粘膜にするという治療法ですね。保険適応でできる簡便な日帰り手術なので、花粉症のひどい方などには有効な治療法だと思います。

難点としては、数年治療効果が続く方もいますが2年程度で効果がなくなってしまう方が多いことです。またアレルギー自体を絶つ訳ではないので、マスク着用などの基本的な抗原回避は必要ですし、重症な方は内服薬を併用することもあります。

ビタミン注射というのも聞いたことがあります。

おそらくステロイド注射のことだと思うのですが、花粉症の治療方法としてはスタンダードではなくおすすめしません。 ステロイドの全身投与は重篤な副作用を伴います。

病気によってはその副作用よりもメリットが上回ることがあり使われることもありますが、少なくとも花粉症の治療にはもっと安全で有効な治療薬がたくさんあるため、デメリットの大きすぎるステロイド注射はおすすめしません。

様々なサイトで花粉症に関する情報が公開されていますよね?

情報の取捨選択は難しいですが、製薬会社や厚労省が公表している情報やデータは信憑性があると思います。誰もが発信できる時代なので、個人のブログやクリニックのHPなどの情報を、100%信用するのは危険ですよね。

医師や薬剤師に相談して、根気よくご自身にあった治療法を見つけていただきたいです。また花粉の飛散が始まる1〜2週間前、症状が出る少しから薬を飲みはじめるとかなり効果が高いので早めの治療開始をおすすめします。

<参考サイト>

・環境省花粉情報サイト                       http://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/index.html

・東京都の花粉情報(東京都アレルギー情報navi.)        https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/allergy/pollen/index.html

 ・エスエス製薬「花粉症のはなし」https://www.ssp.co.jp/alesion/hayfever/                            

・エスエス製薬「2020年花粉予報・飛散情報」                    https://www.ssp.co.jp/alesion/hayfever/forecast/

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