動悸とは|clila疾患情報

【目次】

1.動悸とは
2.相談の目安
3.疫学的整理(原因)
4.症状(潜伏期間・感染経路等)
5.診断の方法
6.診断の難しさ

 

1.動悸とは

  動悸とは主観的な症状であり、強くて速い、または不規則な心臓の動きを伴う不快な感覚と定義されている。また、胸部や首のドキドキする感覚として訴えられることもある。動悸の訴えは、プライマリケア、もしくは循環器科において最も多くみられる症状の一つである。原因は良性であることが多いが、不安感から生じる生理的なものや、致死的な不整脈の症状として発症することもある。そのため、動悸症状を訴える患者に対しては適切な評価が必要であるが、原因によっては、より詳しい検査を行っても患者にとって有益とはならない可能性もある。 

 

2.相談の目安

 動悸の症状が持続している、動悸症状に伴って呼吸苦、失神、失神前症状が認められた場合には速やかに内科または循環器内科を受診する。脈拍が40以下、150以上が持続している場合にも速やかに医療機関を受診する。

 

3.疫学的整理(原因)

 動悸の原因として頻繁にみられる原因には、心疾患、内分泌系疾患、精神疾患、その他薬剤に伴う影響が考えられる。これらの疾患に由来する動悸に加え、運動やストレスなどの生理的な状態によって自覚される動悸もある(表1)。ある研究によると、動悸を主訴に来院した患者のうち、84%においてその原因を特定することができ、43%は心疾患、31%は精神疾患、薬物使用または薬剤関連が10%であり、原因が特定できなかったのは16%であった。動悸症状をもたらす不整脈についても、年齢とともに不整脈を伴う頻度は増え、中年以上では1日に1−2回は不整脈を起こすことがわかっている。しかしながら、頻度の低い不整脈は自覚されないことが多い。
 

表1. 動悸の原因

心疾患

不整脈(頻脈脈性不整脈、徐脈性不整脈、異所性拍動)、僧帽弁逸脱症、ペースメーカー症候群、心房粘液腫、心臓内シャント

内分泌疾患

甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫、

カテコールアミン過剰状態

ストレス、運動、

薬物使用

コカイン、カフェイン、アルコール、アンフェタミン、ニコチン

薬剤関連

交感神経作用やく、血管拡張薬、コリン作用やく、ベータ遮断薬禁断症状

精神疾患

不安障害、パニック障害、身体障害

その他

正常妊娠、貧血、発熱

 

4.症状(潜伏期間・感染経路等)

 動悸は心臓の動きが強くなったり、速くまたは不規則な鼓動として感じられる不快な症状である。正常の脈拍数は1分間に50から100回であるが、50以下を徐脈、100回以上を頻脈と呼び、いずれの場合にも動悸として感じられることがある。運動やストレス、不安感から生じる動悸は生理的な頻脈によることが多いが、誘因なく頻脈が持続する場合には、原因となる疾患を有する場合が多い。頻脈にともない、動悸症状、息切れや胸痛、めまい、失神といった症状が出ることもある。

 

5.診断の方法

 多くの場合で、服薬歴、身体診察、12誘導心電図、採血検査にて診断を絞ることができる。患者が診察時にも動悸の症状を伴っている場合には、12誘導心電図検査を行い、心疾患をに関連する身体診察を行う。しかしながら、患者が受診する際には動悸の症状が消失していることが多く、その場合には、動悸を発症する可能性のある疾患を系統的にチェックしていく。体温、血圧、脈拍、呼吸数、心疾患の身体診察などの一般的な検査に加え、動悸の性状、関連する病歴、本人と家族の心疾患歴、服薬歴、その他の疾患についての問診や検査を行う。血液検査は必須ではないが、貧血や、甲状腺機能亢進症などの確認のために行うことがある。身体所見や心電図検査にて器質的な異常が疑われる場合には、心臓超音波検査を行う。動悸症状が持続しておらず、身体所見や12誘導心電図で異常を認めず、心疾患の所見や家族歴がない場合には、不整脈が原因となった可能性は低いと判断し、持続心電図モニタリングは行わない。ただし、患者の不安感が強い場合などには検査を検討する。以下のような不整脈が心室性頻脈の可能性を示唆する場合には、持続心電図モニタリングを行う。

  1. 持続する動悸で、失神や失神前症を伴う
  2. 心筋梗塞の影響または拡張型心筋症、心臓弁膜症、肥大型心筋症の可能性
  3. 不整脈、失神、突然死、心筋症、またはQT延長症候群などの家族歴

診察時に症状を有さない患者の場合、問診によって、病歴から診断を試みる。その際、発症年齢、動悸の持続時間、脈拍数、脈の規則性、動悸以外の症状、失神や失神前症状などである。年齢だけで原因を特定することはできないが、発症年齢によって、ある程度、可能性のある疾患を限定することができる。例えば、患者が幼少期から動悸症状を訴えている場合、上質性頻脈、房室リエントリー性頻拍と房室結節リエントリー性頻拍の可能性が高い。また、先天性のQT延長症候群によるトルサードドポワントの多くは、20歳前後に発症する。動悸が高齢で始まった場合、発作性上質性頻脈、心房頻拍、または心房細動、心房粗動である可能性が考えられる。その他、器質的疾患を有する場合や、致死的な心室性不整脈が原因である場合もある。

 脈の性質については、「脈が飛ぶ感じ」などと表現される動悸の場合、上室性期外収縮や心房期外収縮のことが多い。また、速く規則的な脈の場合は、発作性上室性頻拍や心室頻拍の可能性を考える。一方、速く不規則な脈の場合には、心房細動、心房粗動、ブロックを伴う心房頻拍などが原因として考えられる。

 

6.診断の難しさ

 診察時に動悸症状を有していない場合、動悸発症時の状況がわからない場合には診断には時間がかかることがある。

 

仁科 有加 総合内科専門医  順天堂大学卒業後、関東周辺や僻地での内科研修中に公衆衛生に関心を持ち、フランスにて公衆衛生修士号を取得。国立がん研究センター勤務を経て、OECD医療課に勤務中。メンタルヘルスや終末期医療の政策提言に携わる。「コロワくんの相談室」にてコロナワクチンの情報提供を行う。関連書籍「新型コロナワクチンQ&A100」

 

 

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