睡眠時無呼吸症候群|clila疾患情報

【目次】
1.  睡眠時無呼吸症候群とは
2.  睡眠時無呼吸症候群の病型と原因
3.  睡眠時無呼吸症候群の相談目安
4.  睡眠時無呼吸症候群の疫学的整理
5.  睡眠時無呼吸症候群の症状
6.  女性と睡眠時無呼吸症候群
7.  妊娠と睡眠時無呼吸症候群
8.  睡眠時無呼吸症候群の診断方法と重症度
9.  睡眠時無呼吸症候群の予後
10.睡眠時無呼吸症候群の治療
11.睡眠時無呼吸症候群の生活上の注意

 

1.睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりして体内が低酸素状態になる病気です。医学的には、10秒以上呼吸が止まった状態を無呼吸とし、一定以上の回数認められる場合に、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。英語では、Sleep Apnea Syndromeといい、頭文字をとって、SASの略語で表されます。

 

2.睡眠時無呼吸症候群の病型と原因

睡眠時無呼吸症候群には、原因別に閉塞性、中枢性、混合型3つのタイプに分けられます。最も多いのが閉塞性で、その最大の原因は肥満です。
 「閉塞性」は、上気道の閉塞が原因で、全体の約9割がこちらのタイプです。 仰向けに寝た時に舌根や軟口蓋が落ち込んで上気道が塞がったり、扁桃肥大によって気道が狭くなって呼吸が止まったりしてしまいます。肥満の人は首周囲に脂肪がついていて気道が狭く、閉塞しやすい状態になっています。肥満でない場合も日本人は顎が細く気道が狭いため、他民族より閉塞性になりやすいと言われています。
 「中枢性」は、脳の呼吸中枢の異常が原因です。呼吸をする指令が脳から出ないために呼吸が止まります。脳血管障害の既往がある方や心不全などの心疾患の方にみられます。
閉塞性と中枢性の「混合性」もあり、閉塞性の治療を始めても改善がみられない場合、混合性である可能性があります。

 

3.睡眠時無呼吸症候群の相談目安

いびきや日中の強い眠気、夜中に何度も目が覚める、起床時の頭痛などの症状を認めたときが相談の目安です。睡眠時無呼吸症候群の検査を行っていない病院もありますので、睡眠時無呼吸症候群の検査を受けられる病院かどうか予め確認されてからの受診がお勧めとなります。

 

4.睡眠時無呼吸症候群の疫学的整理

日本での睡眠時無呼吸症候群の潜在患者数は500万人(男性の9%、女性の3%)と推定されています。30~50歳代の肥満男性に最も多くみられ、20~40歳代の女性には稀にしか認めませんが、閉経後にはその発症率が増加します。幼児期においては口蓋扁桃・アデノイドの肥大が原因となり性差はありません。睡眠時無呼吸症候群の患者の7~8割には肥満を認めます。心不全患者の3~5割に睡眠時無呼吸症候群を合併していることがわかっています。

 

5.睡眠時無呼吸症候群の症状

就寝中の症状には、いびき、夜間頻尿、何度も目が覚める、起床時の頭痛、日中の眠気や倦怠感、集中力が続かないなどの症状があります。いびきは「閉塞性」でみられ、「中枢性」では、徐々に大きな呼吸になっていったあと、浅い呼吸になり、数十秒無呼吸になった後、再び大きな呼吸になるチェーン・ストークス呼吸が特徴的です。

 

6.女性と睡眠時無呼吸症候群

この疾患の名前を聞いて、肥満男性がかかりやすい病気とイメージする方も多いかもしれませんが、女性にも起こります。女性の場合、自覚症状がなく、自分がいびきをかいていると気づかないケースが多く、友達と旅行したときや家族にいびきを指摘されて初めて気付くことがあります。20~40歳代の女性には稀にしか認めませんが、閉経後の50歳以降にの患者が増加します。
その理由として、閉経による女性ホルモン(プロゲステロン、エストロゲン)の減少による原因が挙げられます。プロゲステロンは、脳の呼吸中枢を刺激し、上気道を広げる働きがあり、閉経後はプロゲステロンが減少するので、いびきをかきやすく無呼吸になりやすくなります。
エストロゲンの減少により、男性に多い、内臓脂肪型肥満が増え、上気道が閉塞、無呼吸になりやすくなります。また内臓脂肪の増加による高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を招きやすくなります。睡眠時無呼吸症候群の合併症である、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも急激に増加するので注意が必要です。

 

7.妊娠と睡眠時無呼吸症候群

妊娠期の体重増加に伴い、首周囲の脂肪が上気道を狭くするために睡眠時無呼吸症候群になることがあります。高頻度の無呼吸は低酸素血症をおこすため、着床障害による不妊や、流産、妊娠高血圧、妊娠糖尿病を生じやすくなるなどの悪影響が生じます。そのため妊娠早期の診断や治療を開始することが重要です。

 

8.睡眠時無呼吸症候群の診断方法と重症度

問診で生活習慣やいびきや中途覚醒、起床時の頭痛や倦怠感、日中の眠気などの症状の程度を確認します。また日中の眠気の客観的な評価法として、ESS問診票があります。

*上記チェック項目について、24点満点中11点以上で日中の眠気が強いと判断します。

問診で睡眠時無呼吸症候群が疑われた場合に行う検査として、簡易型睡眠ポリソムノグラフィーや、脳波を含めた終夜睡眠ポリソムノグラフィーがあります。これらの検査では、睡眠の質や睡眠中の身体の状態を調べることができ、閉塞性、中枢性、混合性の鑑別、重症度の判定などができます。呼吸が止まったり浅くなったりする回数を、AHI(無呼吸低呼吸指数)といい、AHIが1時間に5回以上に増加すると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。睡眠時無呼吸症候群の重症度は、AHI  5~15 軽症、15~30 中等症、30以上 重症となります。
耳鼻科的診察で、喉の奥や顎の形に異常がないか確認します。頭部CTや頭部レントゲン検査を行うことがあります。必要に応じて、睡眠時無呼吸症候群に合併するとされる、高血圧、高脂血症、糖尿病、心不全などがないか検査を行う必要があります。

 

9.睡眠時無呼吸症候群の予後

睡眠時無呼吸症候群は治療を行わないと、高血圧、脳卒中、心筋梗塞などを引き起こす危険性が約3~4倍高くなり、特に、AHI 30以上の重症例では心血管系疾患発症のリスクが約5倍にもなります。また日中の眠気による交通事故や仕事上のミス、仕事の効率低下などを起こしやすくなるため、適切な治療を受けることが重要となります。

 

10.睡眠時無呼吸症候群の治療

AHI 20以上で、日中の眠気などの症状を認める閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、CPAPという持続陽圧呼吸療法が標準的治療となります。CPAPはマスクを介して持続的に空気を送ることで、狭くなっている気道を広げる治療法です。軽症の睡眠時無呼吸症候群ではうつ伏せ、または横向きで寝ることが有効な場合があります。
下顎を前方に移動させる口腔内装置(マウスピース)や傾斜のある枕、口テープを使用して治療することもあります。アデノイド・口蓋扁桃肥大が原因となっている場合は、アデノイド・口蓋扁桃摘出術を行います。

 

11.睡眠時無呼吸症候群の生活上の注意

毎日の生活の中で出来る限り原因を除去することが重要です。肥満がある場合、食生活や運動などの生活習慣の改善を心がけやせましょう。減量することで無呼吸の程度が軽減します。無呼吸の誘因となるアルコールや睡眠薬を控えることでも症状を軽減させることができます。

 

久保田 英里循環器内科医 国立大学医学部卒。総合病院で初期研修後、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全などの疾患の治療に従事。現在はその経験を元に、患者さんの気持ちに寄り添うことを心がけながら日々診療にあたっている。

 

<リファレンス>

日本呼吸器学会 睡眠時無呼吸症候群
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=42

東京労災病院 睡眠呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群)について
https://tokyoh.johas.go.jp/medical/s_jibi/s_jibi_01.html

近畿中央呼吸器センター
https://kcmc.hosp.go.jp/cnt0_000236.html

 

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