強直性脊椎炎|clila疾患情報

【目次】

1.強直性脊椎炎とは
2.強直性脊椎炎の原因
3.相談の目安
4.疫学的整理
5.強直性脊椎炎の症状
6.強直性脊椎炎の主な経過
7.強直性脊椎炎の合併症
8.強直性脊椎炎の診断の方法
9.強直性脊椎炎の治療
10.日常生活で気をつけること
11.強直性脊椎炎の診断の難しさ

 

1.強直性脊椎炎とは

 脊椎や骨盤、四肢の関節を侵す炎症による痛みが生じる病気です。関節の痛みや全身のこわばり、倦怠感、発熱などの症状が出現します。痛みを感じる部位は移動することが多く、安静にしている時より体を動かした時の方が軽くなるのが特徴です。進行するとその名の通り、脊椎が骨性に固まって動かなくなる強直という状態になることがあります。Ankylosing spondylitisを略してASの略語で表されます。

 

2.強直性脊椎炎の原因

 はっきりとした原因はわかっていませんが、分娩、怪我、手術などが発症や悪化の契機に免疫異常が生じて炎症が起こるといった機序が考えられています。細菌感染や飲食物や化学物質などが発症や病状経過に影響を及ぼす環境因子として考えられています。白血球のHLA型のうちHLA-B27との強い関連性があることが報告されています。

 

3.相談の目安

背中や腰、お尻のこわばりや痛みがあり、安静時より体を動かした時の方が軽くなるとき
関節痛、全身のこわばり、倦怠感、発熱などの全身の症状など他の症状を伴うとき

 

4.疫学的整理

 強直性脊椎炎は国の指定難病の一つで、現在日本では約 3970名の方が難病指定を受け治療を受けています。強直性脊椎炎の患者さんの男女比は、3:1と男性が多くなっています。男性に比べて女性では発症年齢が高く、軽症であることが多いとされています。

 

5.強直性脊椎炎の症状

 身体の関節の中でも特に、腰椎や仙腸関節に炎症が起き、腰やお尻に痛みがでます。痛みについて、運動をすると痛みが楽になり安静にすると悪化する、急激ではなく徐々に進行する、夜間や朝方の時間帯に強くなる、波があって激痛が数日続いた後に痛みがほとんどなくなるなどの特徴があります。

 股関節や四肢にも炎症による痛みが起こりますが、付着部炎といって、かかと、足の付け根の外側、脊椎、肋骨や鎖骨、坐骨などの靭帯が骨に付着する部位に痛みが起こることもあります。

上記以外には、体のだるさ、疲れやすさ、体重減少、発熱などの全身症状が出ることもあります。

 

6.強直性脊椎炎の主な経過

 多くの方が10~20歳代で発症し、20~30歳代に症状のピークを迎えます。一般的に、腰痛やお尻の痛みから始まり、次第に、首、胸の周囲、四肢の関節に広がります。 

 病状の進行に伴い、頸椎も含め脊椎の動きが悪くなって、体が次第に前屈みの姿勢となり、体を反らす、上を見上げる、うがいをするといった動作に支障が出てきます。

 一般的に、40歳代になると激しい疼痛の症状が治ると同時に、拘縮や強直といって脊椎や関節の運動制限が目立つようになります。

 50~60歳代では、こわばりと倦怠感などの症状になります。高齢になるまで全脊柱が強直するのは全体の約1/3の方になります。経過が長期におよぶ方や脊椎が強直した方では炎症による骨粗鬆症を合併します。

 

7.強直性脊椎炎の合併症

 この病気の約1/3の方にぶどう膜炎という目の病気や尿路系の炎症、その他、クローン病や潰瘍性大腸炎などの腸の病気、乾癬、掌蹠膿疱症などの皮膚の病気、呼吸器や心臓の病気を合併することがあります。

 

8.強直性脊椎炎の診断の方法

診察によって前屈や側屈をした時の背骨の曲がりにくさを調べたり

大きく深呼吸をした時に胸郭がちゃんとふくらむかを調べたりします。

  • 3か月以上持続する腰背部の疼痛、こわばりがあり
    運動により改善し、安静により軽快しない
  • 腰椎の可動域制限(前後屈および側屈)
  • 胸郭の拡張制限

上記に加えてレントゲン検査で仙腸関節の隙間や骨の状態をみて診断をします。

他の病気との鑑別のためにMRIなどの検査を追加する場合もあります。

血液検査では、赤沈やCRPといった炎症反応の値や、MMP-3の上昇をしばしば認めます。関節リウマチやその他の膠原病で陽性となるような、リウマトイド因子、抗核抗体などは陰性であることが多いことも特徴の一つです。この病気では、多くの患者さんがHLA-B27が陽性となることも分かっており、この病気を強く疑う場合に調べることもあります。

 

9.強直性脊椎炎の治療

 この病気に対しては薬物治療、リハビリテーションなどが行われます。薬物治療には、主に非ステロイド性抗炎症薬が使われ、サラゾスルファピリジンや生物学的製剤などの抗リウマチ薬が効く場合があります。限局的な痛みが強い場合、ステロイド局所注射により痛みを和らげることができます。関節の変形が強く内臓を圧迫したり、日常生活に支障がでたりする場合は手術的治療も検討されます。

 

10.日常生活で気をつけること

 長時間同じ姿勢をとらないこと、前屈みにならないこと、急な動きを避けること、適度な運動や体操を行い、姿勢や動きに気をつけ、体の柔軟性を維持することが大切です。体をあまり冷やさないようにすること、喫煙をしている場合には禁煙を行うことも重要になります。

 骨粗鬆症を合併した場合、軽微な外力による骨折を起こしやすく、脊髄損傷を発生するリスクが一般の方の数倍となります。転倒を予防するために転びにくい靴の選択や手すりの設置をするなどし、けがや交通事故に十分注意しましょう。

 

11.強直性脊椎炎の診断の難しさ

 発症してから受診し診断までに至るまで平均9.3年と長い年月を要しています。痛みがさまざまな部位に現れたり、症状が数日のうちに急に治まることがあったり、日本での患者数が極端に少ないため日本の医師に強直性脊椎炎の知識が浸透していないことなどが理由として考えられます。先述した症状に心当たりがある場合は内科もしくは整形外科のリウマチ専門医を受診するのが良いでしょう。
 

久保田 英里 循環器内科医 国立大学医学部卒。総合病院で初期研修後、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全などの疾患の治療に従事。現在はその経験を元に、患者さんの気持ちに寄り添うことを心がけながら日々診療にあたっている。


 

<リファレンス>

難病情報センター 強直性脊椎炎

https://www.nanbyou.or.jp/entry/4847

 

日本整形外科学会 強直性脊椎炎

https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/ankylosing_spondylitis.html

 

リウマチ情報センター

https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rm120/kouza/kyochoku.html

 

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