なんと、2 人に1 人が罹ると言われる「癌」! 気になる治療法は?【医師にインタビュー】

記事要約

「癌(がん)」という響き・・怖いですよね。ですが、怖がってばかりではなく、がんを正しく知り、治療法や医師や病気そのものとの向き合い方を知っておくことはとても大切!

がんとは

胃がん・肺がん・乳がん・肝臓がん・・・・様々な臓器に出来てしまう「がん」。私たちが普段よく耳にするこのがんとはどういうものなのでしょうか?

私たちの身体は60兆個の細胞で構成されています。その正常な細胞が何らかの要因で傷ついてがん細胞に変異し、異常に増殖することで、かたまりとなって「がん」になります。がんは無秩序に周囲に広がり、ブレーキが効かず、正常な臓器機能の邪魔をします。がんの特徴は、➀異常に増殖すること➁他の臓器に転移することです。 

治療法にはどんなものがある?

がんと告知を受けた場合、医師から示され選択できる治療法としては、主に「手術」「放射線療法」「薬物療法」があります。さらに近年では『がん免疫療法』という選択肢が加わり治療の幅は広がってきました。それぞれどんな治療をするのでしょうか?

まず治療の第一選択として思いつくのは、手術ではないでしょうか。手術はがんがある臓器(部位)や転移している部分を取り除きます。がんを完全に取り除くことを目的に行う場合と、症状緩和という側面でも選択される治療法です。

次に放射線療法。こちらもよく耳にすることがあると思います。この治療法は、がん細胞を死滅させるために、がんに高エネルギーをあて破壊する手法です。

3つ目の治療法として選択される『薬物療法』。薬剤を用いて行う治療には3種類があります。その内容と副作用を見てみましょう。

1)化学療法・・異常に分裂を繰り返し増殖する細胞を破壊します。しかし、分裂の早い正常な細胞まで攻撃してしまうため副作用が大きい傾向があります。(例:髪が抜けるなど)

2)分子標的療法・・がん細胞に多く見られる増殖に関する分子(たんぱく質等)を狙って攻撃します。がんや増殖に関わるものに標的を定めていくため、化学療法よりは大きくないものの、やはり副作用があります。

3)ホルモン療法・・がん細胞を成長させるホルモンの分泌や作用を抑えることで、がんの増殖を阻害します。乳がんや前立腺がんなど、増殖させるホルモンが判明しているがんの治療に用いられます。抑えるホルモンによって副作用は異なりますが、乳がんを例にとると、ほてりや関節痛などという副作用があります。 

がん免疫療法とは

では、ここからは近年に選択肢の1つとなった「がん免疫療法」についてお伝えしていきます。がん免疫療法とは、体内の免疫の力を利用して、がんを攻撃する治療法です。免疫を活性化することでがんを攻撃する方法と、がんによって力が弱まった免疫の攻撃力を回復させるという方法があります。自身の免疫細胞を使ってがんを攻撃するため、副作用が少ないといわれていますが、免疫関連の副作用として、自己免疫疾患に似た症状を起こすことが確認されています。自己免疫疾患とは、高めた免疫が暴走して正常な臓器を攻撃する病気です。免疫関連副作用には皮膚疾患や肺障害などがあげられています。そのため、副作用においても注意して観察していくことが重要です。

また、がん免疫療法には保険適用されている治療と保険適用外の治療があります。保険適用されているものは、科学的に効果が証明されている治療になります。一方保険適用外は、まだ効果が証明されていない治療です。その中は玉石混交といえるでしょう。 

がん免疫療法はどんな人が受けるの?

がんの種類やステージによって、ベストな治療法“標準治療”があり、それを示したガイドラインを各学会が作成しています。標準治療では、手術や放射線治療、薬物療法、癌免疫療法を組み合わせて治療を行います。免疫療法はがんの種類によって効果が異なることがわかっています。例えば、膵臓がんは免疫療法の効果が証明されていないため、免疫療法の選択はありませんが、皮膚がん・肺がん・胃がん・乳がんなどの場合は効果が科学的に証明されているため、免疫療法が使用されています。

免疫療法は患者によっても効き目が大きく異なります。しかし、現段階では効果がある人とない人を判別する画期的なスクリーニング方法が見つかっておらず、今後ますます研究されていくでしょう。 

どう生きていきたいか。「リビングウェル」の考え方

前述の通り、がんの種類やステージに応じて、生存期間を基準に、ベストと考えられる標準治療が決まっています。そして、医師は患者さんの年齢や体力を考慮し、総合的に見てベストな治療方針を提案します。しかし、それが“患者にとってベストとは限らない場合もあります。例えば末期がんで、ご自身が積極的な治療を選ばないと決断されれば、それも選択となります。また、どの段階であっても、緩和療法という症状を和らげる治療法も選択にあります。治療法については、担当医とよく相談し、少しでも不安がある場合は、セカンドオピニオンも検討するといいでしょう。

がんは怖いと感じると思いますが、早期であれば完治できる可能性があります。また、がんが進行していても、宣告からおおよそ数ヶ月~数年という期間があることも事実です。これを機会に“自分はどう生きていきたいか(=リビングウェル)”をじっくり考えていくことが大切です。自身のステージを正しく知り、主治医とコミュニケーションを取り、病気とつき合いながら生き方を考えていくことで、より納得の行く人生を歩んでいけるのではないでしょうか。 

まとめ

万が一、自分や自分の大事な人が「がん」と診断されてしまったら、それは途方に暮れてしまうことでしょう。ですが、今、がんは2人に1人は罹る病気、そして不治の病とも言えなくなっています。自身がどんながんで、どんな状況か。医師の話を聞いて納得できているか。もし少しでも不安なことや分からないことがあったら、いつでも質問していただき、自分の納得のいく治療を主治医と共に歩んで頂けたらと思います。大切な人生です。セカンドオピニオンも遠慮なく主治医に依頼してください。信頼関係のある医師は、躊躇なくデータを渡してくれるでしょう。 

<リファレンス>

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