胆石症と急性胆嚢炎・胆管炎|clila疾患情報

【目次】
1.胆石症とは
2.胆石症の原因
3.胆石症の検査
4.胆石症の症状
5.胆石症の治療
6.胆石症の予防

 

1.胆石症とは

肝臓で作られた胆汁は一度胆嚢に蓄えられた後、胆管を通って十二指腸に流れます。胆汁は食事で摂取した脂肪分やビタミンの消化・吸収を助ける黄褐色の消化液で、肝臓で1日に600~800mL程度作られ十二指腸に排出されます。この胆汁が流れる道を胆道と呼び、胆道に結石ができることを胆石症と言います。結石ができる部位によって胆嚢結石、胆管結石、肝内結石に分けられますが、胆嚢結石が約80%を占め、胆管結石は約20%、肝内結石は約2%です。そのため、胆石=胆嚢結石と思われている方も多いと思います。食生活の欧米化により脂肪摂取量が増加したり、高齢化が進むと共に胆石症は増加傾向で、現在では成人の10人に1人が胆石をもっていると言われています。また、受診時の平均年齢は、胆嚢結石が56.3歳、胆管結石が66.9歳でやや女性に多い傾向です。

 

2.胆石症の原因

胆石はコレステロール石と色素石の2種類があり、日本人の胆石症患者さんではコレステロール石が約80%を占めます。コレステロール石は胆汁のコレステロール濃度が高いときに胆石になります。コレステロール石ができやすい人の特徴として「5F」が知られています。これは「Fatty(太っている)」、「Female(女性)」、「Forty(40歳代)」、「Fair(白人)」、「Fecund(多産婦)」の頭文字をとったものです。また色素石のうち、ビリルビンカルシウム石は胆汁の細菌感染が原因と考えられています。

 

3.胆石症の検査

胆石症の検査の中で最も標準的な方法は腹部超音波検査(エコー検査)です。腹痛の精査や人間ドック、健診の際に腹部超音波検査を行い胆石が見つかることがよくあります。その他、腹部CT検査、MRCP(磁気共鳴胆管膵管造影検査)、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査)等があり、腹部超音波検査による診断が難しい場合や胆管にある胆石は腹部超音波検査だけでは診断できないことがあり、胆石のある部位や炎症の状況把握のために検査法を使い分けて行います。内視鏡の先端に超音波を発するプローブが付いている超音波内視鏡(EUS)を利用し、胃や十二指腸から胆嚢や胆管に向けて超音波をあてて観察する方法もあり、胆石の描出には有効ですが通常よりも太い内視鏡を挿入する必要があり苦痛を伴います。また経静脈的胆道造影法(DIC)、磁気共鳴胆道膵管造影法(MRCP)は、主に総胆管結石の検出に用いられます。総胆管結石が強く疑われる場合は内視鏡を十二指腸まで挿入し、胆汁の出口である十二指腸乳頭という部位から胆管に向かって逆行性に造影剤を注入して胆石があるかどうかをX線で撮影するERCPという検査があります。この検査法では胆管結石の診断を行うと同時に結石を摘出することが可能です。

 

4.胆石症の症状

胆石症になっても2~3割の人は無症状で経過します。一般的な症状としては心窩部(みぞおち)を中心とした疝痛発作(激しい痛み)が典型的で、これに胆道痛といわれる右肩や背中の痛みを伴う場合もあります。また鈍痛や圧迫感などの痛みとして現れることもあります。疝痛発作は脂肪の多い食事の摂取後や、食べ過ぎた後に起きやすいという特徴があります。疝痛発作以外にも吐き気や嘔吐などもしばしば伴います。炎症を起こすと発熱もみられ、感染した胆汁が血液中に流れ込むと敗血症を引き起こします。結石が胆管に詰まると黄疸や肝障害も併発します。黄疸になると皮膚が痒くなったりビリルビン尿という褐色の尿が出ます。

 

5.胆石症の治療

胆石症のうち痛みなどの明らかな症状がないものを無症状胆石といい、その場合、治療を行わずに定期的に経過観察をします。胆嚢結石は腹痛を伴う場合には手術による治療が原則です。胆石の手術は胆石を取り除いても再発することが多いため、基本的に胆嚢ごと取り出します。以前は開腹手術が行われていましたが、近年は傷口が小さく体の負担を軽減出来るため、腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われます。しかし、炎症などによる胆嚢の癒着が強い場合や胆嚢癌の合併が疑われる場合など、腹腔鏡での手術が難しいと判断した場合には開腹手術となることもあります。手術以外の治療法として、コレステロール石に対しては胆汁酸製剤(ウルソデオキシコール酸)の溶解効果が認められています。コレステロール石の大きさが15mm以下・石灰化がない石で胆嚢の機能が正常な場合に適応となります。1年間内服を続けると20%程度、溶解に成功しますが、そのまま放置すると60%ぐらいの患者さんは再発するため、溶解後も胆汁酸製剤の内服を続ける必要があります。
体の外から衝撃波を胆石に照射して胆石を砕く方法もあり、これを体外衝撃波胆石破砕療法(ESWL)といいます。結節が一つで直径20mm以下、石灰化のないコレステロール石の場合適応があります。1年後の消失率は60~90%ですが、10年間で約60%は再発します。結石が落下するときに膵炎や胆管炎や胆道閉塞などの重篤な合併症を起こすこともあり、現在はほとんど行われておりません。胆管内の胆石は放置しておくと胆管の出口である十二指腸乳頭に詰まって急性胆管炎を起こします。

急性胆管炎は敗血症を併発しやすく重症化することがあるため、胆管結石は無症状でも治療を行います。胆管結石を内視鏡で取り出すには十二指腸乳頭部を切開するかバルーンで拡張してからバスケットカテーテル(胆石を取り出す器具)などで除去します。急性胆管炎を生じている際には内視鏡を使って胆汁が流れるようにチューブステントなどを胆管に留置する方法が選択されます。胆管結石に対してどの治療法を行うかは結石の大きさや数、胆嚢結石合併の有無などを考慮して選択します。

 

6.胆石症の予防

胆石症の予防として卵、バター、洋菓子、てんぷら等、コレステロールや脂肪分の多い食事は制限することが大切です。 食物繊維はコレステロールの吸収を抑えたり、コレステロールを含んだ胆汁を排泄させる働きがあるため積極的に摂取することが勧められます。 野菜や果物を積極的に摂取し、バランスのよい食事と暴飲暴食を避けることに注意しましょう。また、定期的に運動をして肥満にならないように気を付けることも必要です。

 

姫野愛子消化器内科医2010年国立大学医学部卒業。消化器内科医として大学病院、地域基幹病院にて臨床経験を積み一般内科及び消化器内科疾患を対応。内科認定医、消化器病専門医、内視鏡専門医を取得。

 

<リファレンス>

日本消化器病学会 胆石症診療ガイドライン2021

急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018

    コメントを書くにはが必要です。

    カテゴリー

    タグ

    不安が解消できない場合には、
    実際の医師に直接相談できる、
    オンライン相談サービス、
    「anamne(アナムネ)」
    をご利用下さい。