先天性風疹症候群|clila疾患情報

【目次】
先天性風疹症候群とは
先天性風疹症候群の症状
先天性風疹症候群の診断
先天性風疹症候群の治療法
先天性風疹症候群の予防法
先天性風疹症候群のフォローアップについて

先天性風疹症候群とは

まず、風疹とは風疹ウイルスによる急性の発疹性感染症で、主症状として発疹、発熱、リンパ節の腫れを認めます。風疹ウイルスの感染経路は、飛沫感染で、感染者の唾液などの飛沫でヒトからヒトへと感染していきます。

感染力をもつ期間は、発疹の出る2〜3日前〜発疹が出て5日くらいまでは感染力があると考えられています。風疹の症状は子供では軽症のことが多いのですが、稀に脳炎や血小板減少性紫斑病などの合併症を引き起こします。

また、明らかな症状が出ない不顕性感染も15〜30%ほどいると言われています。一度感染すると、多くの人でその後風疹にかかることはありません。

問題となるのは、風疹に対する免疫が不十分な妊婦(特に妊娠初期の女性)がこの風疹にかかると、風疹ウイルスが経胎盤感染で胎児にも感染を起こし先天異常を起こすことがあります。これを先天性風疹症候群と言います。

先天異常の発生は、感染時の妊娠週数に関係しており、妊娠12週までの妊娠初期の初感染に多く発生しており、妊娠20週以降にはほとんどみられなくなります。

先天性風疹症候群の症状としては、難聴、心疾患、白内障、その他先天性緑内障、色素性網膜症、紫斑、脾腫、小頭症、精神発達遅滞、髄膜脳炎、骨のX線透過性所見、生後24時間以内に出現する黄疸などの症状を呈することがあります。

風疹は予防接種があるので、妊娠中に風疹にかかることを予防することができます。また家族などが接種することにより妊婦に風疹をうつすことも予防できます。

風疹ワクチンは弱毒生ワクチンであり、妊娠中は風疹の予防接種をうけることはできないため、妊娠前に接種することが大切です。
 

先天性風疹症候群の症状

先天性風疹症候群の3大症状は、先天性心疾患、難聴、白内障です。

先天性心疾患の中で多い心疾患は、動脈管開存症と肺動脈狭窄です。それ以外には、網膜症、肝脾腫、血小板減少、糖尿病、発育遅滞、精神発達遅滞、小眼球など多岐にわたる症状がみられることがあります。

先天異常以外に新生児期に出現する症状としては、低出生体重、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、黄疸、間質性肺炎、髄膜脳炎などがあります。また、進行性風疹全脳炎、糖尿病、精神運動発達遅滞などが見られることがあります。

また、症状が出現する時期については、下記の表1のように出生時に一過性に出現するもの、症状が永久的に残るものと、遅発性に出現してくるものがあります。

表1. 先天性風疹症候群の臨床像  
   (先天性風疹症候群(CRS)診療マニュアルより出典)



妊娠中に風疹の症候がみられた場合、妊娠月別の先天性風疹症候群の発生頻度を見ると、妊娠1カ月で50%以上、妊娠2カ月で35%、妊娠3カ月で18%、妊娠4カ月で8%程度と言われています。明らかな症状が出ない不顕性感染については、前述のとおり成人でも15~30%程度あると言われており、妊婦が無症候の不顕性感染であっても先天性風疹症候群が発生する可能性があります。

妊婦が風疹を発症しても胎児まで感染が及ぶ可能性は約1/3であり、また、その感染胎児の約1/3 が先天性風疹症候群になると言われています。

先天性風疹症候群の診断

先天性風疹感染症や先天性風疹症候群が疑われる場合、風疹ウイルスの胎内感染を証明するために以下の検査が推奨されています。
・血清風疹 IgM 抗体検査(生後半年は検出可能)
・ウイルス分離同定による風疹ウイルスの検出(咽頭拭い液、唾液、尿)
・風疹ウイルス PCR 検査による遺伝子の検出(咽頭拭い液、唾液、尿)
・血清風疹 HI 抗体価の経時的フォロー
上記の検査のいずれかが陽性で、出生後の風疹ウイルス感染を除外できる場合、 先天性風疹感染症と考えます。感染が確認できた場合には、合併症の検索を行います。
 
感染症法では、風疹は五類感染症(全数把握疾患)に定められており、診断した医師は7日以内に最寄りの保健所に届け出ることが定められています。

先天性風疹症候群の治療法

先天性風疹症候群の特別な治療法はなく、症状や合併症、その重症度に応じて治療やフォローアップをしていくことになります。

心疾患は、妊娠中に胎児心エコースクリーニング検査を受けて、異常が疑われる場合には専門医にて精査を受けることが推奨されています。
診断に基づいてフォローアップや治療方針の決定を行います。軽症であれば自然治癒することもありますが、手術が必要となる場合もあります。

白内障については、重症例に対しては早期(3ヶ月以内)に手術を行い、軽症であれば経過観察や弱視治療を行います。
難聴については、定期的な聴力評価を行い、難聴の程度に応じて補聴器の装用を行い、QOLの向上を目指します。補聴器装用で十分聴力が回復しない場合には、人工内耳埋込術の適応が検討されます。

先天性風疹症候群の予防法

先天性風疹症候群の予防のためには予防接種が有効な方法です。

風疹に対して十分な抗体価をもっていない方は、予防接種により免疫をつけることが大切です。風疹に対して十分な抗体価を持っているかどうかは血液検査で調べることができます。

妊娠可能年齢の女性で風疹抗体が十分にない方とその家族は、妊娠前に予防接種を受けておくことが大切です。

女性が予防接種を受ける場合は、胎児への感染を防止するため、妊娠していないことを確認したうえで接種し、接種後2か月間は避妊が必要です。 

先天性風疹症候群の出生児の周囲の人への感染力については、咽頭ぬぐい液、唾液、尿などから長期間風疹ウイルスが検出され続けますので、その間は周りの人に感染させる可能性があります。この期間に、免疫が不十分な妊娠希望女性、妊娠中の女性、風疹に対する免疫がない方については、密接に触れ合うと感染してしまう可能性があるため注意が必要です。

生後3か月以降の検査で1か月以上の間隔をあけて、連続して2回風疹ウイルスが検出されていないことが確認できれば、周りの人への感染性はまずないと考えられています。
 

先天性風疹症候群のフォローアップについて

先天性風疹症候群は様々な症候を認めますが、新生児期には明らかな症候を呈さないことがあります。先天性風疹症候群の遅発型症候としては、中枢神経系異常、 内分泌異常、難聴、眼疾患、血管障害などがあります。そのため、出生時の症候の有無にかかわらず、長期的な成長や発達・合併症などのフォローアップを行っていく必要があります。
 

この記事を監修した人:マックアリース温子 麻酔科医、産業医 
2010年医学部卒業。初期研修終了後、総合病院にて麻酔科医として手術麻酔に従事。その後、大企業にて専属産業医として勤務し、メンタルヘルスや予防医学に携わっている。


<リファレンス>
先天性風疹症候群(CRS)診療マニュアル 2014年1月 日本周産期・新生児医学会

国立感染症研究所 感染症情報センター

国立感染症研究所先天性風疹症候群に関するQ&A

厚生労働省 先天性風しん症候群

厚生労働省 風しんについて

東京都感染症情報センター

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