子宮体癌|clila疾患情報

【目次】
1. 子宮体癌とは
2. 子宮体癌の原因、リスク要因
3. 子宮体癌の自覚症状と相談目安
4. 子宮体癌の疫学的整理
5. 子宮体癌の診断方法
6. 子宮体癌の治療

 

1.子宮体癌とは

子宮は、子宮体部と子宮頸部に分けられ、子宮頸部は膣側の子宮の入り口付近の部分、子宮体部とは妊娠時に胎児を育てる部分になります。子宮の癌は、子宮頸部にできる子宮頸癌と、子宮体部にできる子宮体癌に大きく分けられます。子宮体部から発生する癌には、子宮内膜という組織から発生する子宮内膜癌やその他の組織から発生する子宮肉腫などがあり、子宮肉腫は子宮体部悪性腫瘍全体の4〜9%と報告されていて子宮筋腫との鑑別が重要となります。子宮体癌の多くが子宮内膜癌であり一般的には子宮体癌というと子宮内膜癌を指すことが多いです。日本では、近年患者数は増加しており、年齢別の罹患率では40代後半から徐々に増加し、50〜60代に最も多く見られます。

 

2.子宮体癌の原因、リスク要因

多くのケースで、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの過剰が関与しています。エストロゲンには、妊娠に向けて子宮内膜の発育を促す作用があり、妊娠が成立しなければエストロゲンの分泌が減り子宮内膜は剥がれ落ちて月経となります。このエストロゲンが過剰となると、子宮内膜も過剰に増殖していき、子宮内膜増殖症を経て子宮体癌(子宮内膜癌)が発生すると言われています。
リスク要因として、未出産、肥満、高血圧、糖尿病、月経不順(無排卵性月経周期)がある、卵胞ホルモン製剤だけのホルモン療法を受けているなどが挙げられます。
一方、子宮体癌の2〜5%はエストロゲンが関与しない遺伝性のものとされています。リンチ症候群というもので、がん関連遺伝子の異常に伴って発生するとされており、血縁者に子宮体癌や大腸癌、卵巣癌、胃癌などが多発することがあります。

 

3.子宮体癌の自覚症状と相談目安 

一番多い自覚症状は不正性器出血です。下腹部痛や性交時痛、排尿時痛、おりものの異常、貧血を認めることもあります。不正性器出血は、おりものに血が混じり褐色になる程度のものもあります。不正出血が続いたり、閉経後に出血がみられたりする場合などでは早めに婦人科に相談することが大切です。
また、遺伝性の腫瘍については、近親者に若い年代で子宮体癌や大腸癌、卵巣癌、胃癌などに罹患された方がいる場合、ご自身の年齢が若くても上記のような自覚症状があれば婦人科で相談してください。また、子宮体癌だけでなく大腸癌検診や胃癌検診などの癌検診も定期的に受けられることも大切です。
 なお、一般的に自治体などで行われる「子宮がん検診」というと、子宮頸癌の検診を指し子宮体癌の検査は含まれていないことが多いので注意が必要です。

 

4.子宮体癌の疫学的整理

子宮体癌の罹患率は年々増加しており、近年、日本では年間約17000人の方が子宮体癌と診断されています。この背景には、上記「2.子宮体癌の原因、リスク要因」にあるリスクに関係する、食生活の欧米化や少子化・晩婚化など、ライフスタイルの変化もあると言われています。

 

5.子宮体癌の診断方法

子宮体癌が疑われる場合、超音波検査(エコー検査)・子宮内膜細胞診・子宮内膜組織診を行うことが一般的です。
子宮内膜細胞診では、直接、子宮内部に細い器具を挿入してその部分の細胞を取り顕微鏡で検査を行います。そこで疑わしいところがあれば、さじ状の器具を使って組織の一部を取り組織診を行います。
子宮体癌と診断された場合、癌の広がりを調べるために画像検査(CT、MRI、PET-CT等)を行います。MRIで、子宮筋層の浸潤の程度や、卵巣・卵管への進展の有無を評価します。CTやPET-CTでは全身の臓器やリンパ節にがんの転移がないかを調べます。これらは、治療方針を決めるためのとても重要な検査です。
子宮体癌では子宮内膜が厚くなることが多いため、超音波検査で子宮内膜の厚みを調べる方法もありますが、初期の子宮体癌では検出できない可能性もあります。

 

6.子宮体癌の治療

子宮体癌の治療の第一選択は外科手術となります。
手術の基本は、子宮、両側の卵巣+卵管、リンパ節摘出が一般的です。一部の早期子宮体癌に対しては、開腹手術だけでなく、小さな切開創からカメラ(内視鏡)や鉗子などを入れて行う腹腔鏡下手術やロボット支援下手術も保険診療として行われています。摘出した病巣や組織を手術後に顕微鏡で検査し、進行期・ステージ決定と再発リスクの評価を行っていきます。
この術後の評価で再発のリスクが高いと考えられる場合には術後治療を行います。本邦では再発リスクが高い場合の術後治療は化学療法(抗がん剤)が主体で、AP療法(アドリアマイシン+シスプラチン)が標準治療ですが、TC療法(パクリタキセル+カルボプラチン)も考慮されます。
術前にⅢ・Ⅳ期と考えられる進行子宮体癌の場合では、手術療法、化学療法、放射線治療、ホルモン療法など治療を行います。治療の選択は、病巣部位や患者の全身状態、ホルモン受容体の有無などにより決定していきます。一般的に腫瘍減量術が可能な場合は手術が選択されますが、手術後に残存腫瘍がある場合や遠隔転移を認めるなど切除不能と判断される場合には化学療法、放射線療法、ホルモン療法を考慮していきます。化学療法は、AP療法が標準治療であり、TAP療法(パクリタキセル+アドリアマイシン+シスプラチン)やTC療法も考慮されます。放射線治療は、単発や限局した残存病巣に対して行われたり、症状緩和を目的に行われたりしています。エストロゲン受容体やプロゲステロン受容体陽性の場合では、黄体ホルモン療法を行うこともあります。

手術後の合併症として、術式によっては、排尿障害や便秘が現れることがあります。またリンパ節摘出を行った場合では足のむくみ、閉経前の方で卵巣摘出をした場合では更年期障害のような症状などが現れることがあります。
妊娠を希望される方には、子宮内膜異型増殖症や初期の子宮体癌に対して、子宮を温存する黄体ホルモン療法での治療を考慮することもあります。しかし、再発のリスクも存在し、さらに、効果は異型度やホルモン受容体の有無などによるため限られたタイプの癌が適応となります。

子宮体癌の再発には、子宮や卵巣を摘出した後の膣断端などの骨盤内に再発する局所再発と、癌性腹膜炎を伴った腹腔内、肺、肝臓やリンパ節などの骨盤外の臓器に再発する遠隔再発があります。癌が再発した場合は、癌の広がりや初回治療の内容を踏まえて、手術、化学療法や放射線療法、ホルモン療法などが行われます。

 

マックアリース温子麻酔科医、産業医2010年医学部卒業。初期研修終了後、総合病院にて麻酔科医として手術麻酔に従事。その後、大企業にて専属産業医として勤務し、メンタルヘルスや予防医学に携わっている。

 

<リファレンス>
子宮体がん治療ガイドライン2018年版
https://jsgo.or.jp/guideline/taigan/2018/taigan2018_05.pdf

女性の健康推進室 ヘルスケアラボ 子宮体がん
https://w-health.jp/carcinoma/endometrialcancer/

公益社団法人 日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=11 
公益社団法人 日本婦人科腫瘍学会
https://jsgo.or.jp/guideline/taigan2018.html

国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター
https://ganjoho.jp/public/cancer/corpus_uteri/index.html

愛知県がんセンター病院
https://www.pref.aichi.jp/cancer-center/hosp/12knowledge/iroirona_gan/09shikyutai.html#a06

 

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