子宮内膜症|clila疾患情報

【目次】

1.子宮内膜症とは
2.子宮内膜症の疫学的整理
3.子宮内膜症の原因
4.子宮内膜症の症状
5.子宮内膜症の相談目安
6.子宮内膜症の診断方法
7.子宮内膜症の治療法
8.子宮内膜症の再発について

 

1.子宮内膜症とは

子宮は、子宮内膜と子宮平滑筋という組織からできています。子宮内膜は女性ホルモンの作用で厚くなり受精卵が着床するのに備えます。妊娠が成立しなければ子宮内膜は剥がれ落ち月経血として膣外に流れ出ていきます。通常、子宮内膜は子宮内にのみ存在しています。

子宮内膜症とは子宮内膜あるいはそれに似た組織が子宮以外の場所に存在することにより起こる疾患です。子宮内膜症では、その病変部位でも月経時に出血が起こりますが、剥がれ落ちた子宮内膜は体外に出ることができず、体内にたまり炎症や周囲の臓器との癒着を起こし様々な症状を引き起こします。子宮内膜症は、腹膜や卵巣やダグラス窩、卵管など骨盤内臓器に発生しやすく、まれに肺や腸、臍など骨盤にも起こります。

特に卵巣にできる子宮内膜症を卵巣子宮内膜症嚢胞といい、卵巣内で出血して血液が貯留し嚢胞を形成します。その内容物が古い血液でチョコレート状であることからチョコレート嚢胞ともいいます。子宮内膜症は良性疾患ですが、チョコレート嚢胞はまれに癌化する可能性があります。

 

2.子宮内膜症の薬学的整理

子宮内膜症は20〜30代の女性に好発する疾患であり、生殖可能な年齢の女性の5〜10%に子宮内膜症が見られます。また、子宮内膜症の患者の30〜50%は不妊症を合併していると言われています。

 

3.子宮内膜症の原因

子宮内膜症が起こる原因は明らかになっていませんがいくつかの仮説が考えられています。通常であれば月経が起きると月経血は腟を通って体外に排出されますが、月経血の一部が卵管を通って骨盤内に逆流し、血液と一緒に剥脱した子宮内膜組織などが子宮内から骨盤内の臓器や組織に付着する「逆流説」が有力な説です。他にも複数の説があり、はっきりとした原因はわかっていません。

 

4.子宮内膜症の症状

子宮内膜症の症状として、ひどい月経痛、月経時以外での下腹部痛や腰痛、性交痛や排便痛、排尿時痛などを認めます。月経に伴って起こる病的な症状のことを月経困難症といい、子宮内膜症のある患者の多くで月経困難症が見られます。また、不妊症を引き起こすこともあります。その他、子宮内膜症が発生した部位によって、さまざまな症状を引き起こします。

子宮内膜症は、女性ホルモンであるエストロゲンによって増悪していきます。そのため、月経のある間は悪化していきますが、閉経後にはエストロゲンが低下するため症状が軽くなっていくことが多いです。

 

5.子宮内膜症の相談目安

「4.子宮内膜症の症状」にあてはまるものが1つでもあれば子宮内膜症やそれ以外の疾患による月経困難症の可能性があります。子宮内膜症は、進行すると症状が重くなりますので、早めに婦人科で相談することをおすすめします。

 

6.子宮内膜症の診断方法

子宮内膜症の診断は、問診、内診、経腟超音波検査を行います。問診では、症状が出る時期や痛みの部位などを確認していきます。内診では、子宮可動性の制限やダグラス窩の硬結などの所見がないかどうか、また経腟超音波検査では卵巣子宮内膜症性囊胞(チョコレート囊胞)を伴うかどうかを確認します。その他、必要に応じてMRI、CT、血液検査(腫瘍マーカーの測定)なども行っていきます。

 

7.子宮内膜症の治療法

子宮内膜症の治療法には大きく、薬物療法と手術療法があります。

(1)薬物療法 

対症療法として疼痛に対して鎮痛剤(非ステロイド抗消炎鎮痛薬(NSAIDs))を用います。ただし、鎮痛剤は子宮内膜症自体を治したり進行を防いだりするものではありません。鎮痛剤の効果が不十分な場合や子宮内膜症への治療が必要な場合には、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤、プロゲスチン製剤やGnRHアゴニスト製剤などを用います。

(2)手術療法

薬物療法が奏功しない場合、手術療法を行います。
妊娠を希望される場合は、保存療法として、正常な部分を残し病巣のみの摘出や焼却・癒着剥離を行います。最近は、腹腔鏡手術も可能となってきています。
根治手術は、妊娠希望のない方に対して行われ、子宮や付属器などを摘出していきます。

<卵巣子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)を伴う場合>

卵巣子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)が稀に(頻度 0.7%程度)癌化することがあり、さらに50 歳以上で有意にその頻度が上がると報告されています。そのため、特に40歳以上で長径 10cm 以上あるいは急速な増大を認めるなど悪性化のリスクの高い場合は患側の卵巣摘出術を行います。

不妊症を合併している方への嚢胞摘出術は、術後の自然妊娠の妊娠率を上昇させるといわれる一方で術後の卵巣機能を低下させることも懸念されています。特に体外受精前の嚢胞摘出術は、術後の妊娠率の向上に有意な利益をもたらさないと言われています。そのため、根治性と卵巣機能の温存の観点からも治療方法を十分に検討していくことになります。

 

8.子宮内膜症の再発について

子宮内膜症は、薬物治療や手術治療を行っても治療後にしばしば再発することが問題となります。保存手術後の再発予防として、術後すぐの妊娠の希望のない方にはホルモン療法を行うこともあります。

再発を予防するために、症状が改善した後も、治療を継続したり定期的に経過観察を受けたりしていくことが大切です。

 

マックアリース温子麻酔科医、産業医
2010年医学部卒業。初期研修終了後、総合病院にて麻酔科医として手術麻酔に従事。その後、大企業にて専属産業医として勤務し、メンタルヘルスや予防医学に携わっている。

 

 

<リファレンス>

公益社団法人 日本産科婦人科学会
https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=9

公益社団法人 日本産婦人科医会
https://www.jaog.or.jp/note/(4)子宮内膜症性不妊への対応/

一般社団法人 日本内分泌学会
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=77

公益社団法人 日本婦人科腫瘍学会
https://jsgo.or.jp/public/naimaku.html

産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2020 公益社団法人 日本産科婦人科学会
公益社団法人 日本産婦人科医会
https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2020.pdf

Mayo clinic –Endometriosis-
Endometriosis - Symptoms and causes - Mayo Clinic

 

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