何となく胃の調子が良くない……これは病気?疲れ?【医師にインタビュー】

【目次】

機能性ディスペプシアとは
どんな症状?考えられる原因は?
どうやって診断するの?
適切な治療とは?
まとめ

 食べ過ぎたわけでもないのに胃に膨張感があったり、痛みがあったり……でも病院で検査をしても病名が付くような結果ではない。これは気のせい?でも膨張感が慢性的に続く……。こんな経験はないでしょうか?その症状、実は『機能性ディスペプシア』という疾病です。今日は聞きなれないこの「機能性ディスペプシア」につきまして、お話をお聴きしました。

取材させて頂きましたのは、姫野愛子先生です。 
 

姫野愛子消化器内科医2010年国立大学医学部卒業。消化器内科医として大学病院、地域基幹病院にて臨床経験を積み一般内科及び消化器内科疾患を対応。内科認定医、消化器病専門医、内視鏡専門医を取得。

 

機能性ディスペプシアとは

「食後胃に膨張を感じる・痛みがある」「単発で襲ってくる痛みや膨張感だけど、何度も継続的にやってくる」「検査をしても特に原因が見つからない」“慢性胃炎”“ストレス性胃炎”と診断されたけれど、炎症を起こしているわけではない」そんな疾患が増えてきたことから生まれた概念が、本日お話する『機能性ディスペプシア』です。この病気の概念が出来たことで、症状に合わせた適切な治療が受けられるようになってきています。最近出来た概念ですが、実は多くの方がこの症状に悩まされており、その有病率は健診受診者の11~17%、上腹部症状で受診する方の45~53%という報告があります。現在約一千万の人が罹っている身近な疾病だということが分かってきました。

 

どんな症状?考えられる原因は?

ではその『機能性ディスペプシア』は、どのような症状を指し、どのような原因で引き起こされるのでしょうか?概念は最近明らかになりましたが、症状は昔からよくある消化管に感じる違和感です。「少ししか食べていないのにすぐにお腹がいっぱいになる」「食後にはいつも胃が重苦しく痛む」などが挙げられ、また空腹時の胃痛を感じることもあります。胃の炎症等はないにも関わらず、慢性的にこのような痛みや膨張感を感じることが特徴です。

 考えられる原因としては、過食や高脂肪食、不規則な生活や飲酒喫煙、過労や睡眠不足、そして精神的なストレスも要因ともいわれています。この過食や高脂肪食、不規則な生活を続けていることで、胃に本来備わっている運動機能に問題が生じてきます。食事をして食べ物が胃に入ってくると、蠕動運動によって適量ずつ十二指腸へ送り出されますが、この蠕動運動機能が低下すると、食べ物の流れが停滞し膨張感などの症状を起こします。仕組みは以下のようになっています。

過食や高脂肪食で胃酸が出過ぎてしまい → 胃の蠕動運動を鈍らせ → 知覚過敏になる → みぞおちの痛みを感じたり、焼けるような感覚が生じる。

これが、食事や生活スタイルからの発症経路です。

 

どうやって診断するの?

この機能性ディスペプシアは、胃がんや十二指腸潰瘍といった器質性疾患や、胃の周辺臓器の悪性潰瘍など、類似した症状を発症する疾病がないことが前提になります。つまり、上記のような疾病ではないにも関わらず、膨張感や痛みの症状がある場合に、機能性ディスペプシアと診断されるのです。そのため診断には、上記のような疾病がないことを以下の検査で確認を行います。

➀問診 

心窩部の痛みが慢性的に存在するか等自覚症状を丁寧に訊いていきます。機能性ディスペプシアの場合は、繰り返す嘔吐や吐血、膵疾患を疑わせる背部痛等は発症しないため、このような症状がないかを確認します。また、要因となるストレスや食生活、薬剤の使用状況などもヒアリングしていきます。更に、ピロリ感染、胃・十二指腸潰瘍の関与、そして腸管の細菌感染症がなかったかなどを確認するため、家族歴や既往歴も詳しく聴き取りをしていきます。

➁検体検査

検体検査では、貧血や炎症、肝臓や胆道に疾患がないかを確認します。便潜血検査は大腸癌等消化管の疾患有無を・尿検査は糖尿病や腎障害の有無を確認します。またヘリコバクターピロリ菌の検査を行うこともあります。これは、もし感染が確認された場合、除菌することで、機能性ディスペプシアの症状を軽減させる場合があるからです。

③消化管内視鏡検査

心窩部痛や胃もたれの要因として高い確率の胃癌や胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎がないかを確認するために、消化管内視鏡検査はとても重要です。必要に応じて(内視鏡検査で診断できない消化器疾患などを確認するため)腹部超音波検査・CT検査等を行います。

 機能性ディスペプシアであると診察するための検査は、深刻な癌・肝炎を見つけ出す意味でもとても重要です。

 

適切な治療とは?

機能性ディスペプシアの治療方法は主に2つあります。薬物療法と生活習慣の指導です。

機能性ディスペプシアは様々な要因で発症するため、患者様の症状や状態に合わせて薬を処方します。大きく分けて胃酸分泌抑制薬と消化管運動改善薬です。胃酸分泌抑制薬は、胃酸が出過ぎて知覚過敏を引き起こすことを抑えるための治療薬です。もう一つの消化管運動改善薬は、要因の1つである蠕動運動機能低下による胃もたれや満腹感を抑えるための薬です。第一選択薬としてはこの2種類ですが、機能性ディスペプシアは要因が絡み合い、人によって合う薬が異なることから、心理的要因が関与する際は、第二選択薬として抗不安薬や抗うつ薬を併用することもあります。

また、機能性ディスペプシアの要因の1つとして自律神経の乱れが挙げられることから、生活習慣の指導も効果的な治療法です。バランスの良い食事・充分な睡眠・適度な運動を促すことで、生活リズムを取り戻り、自律神経の働きを整えていくことは重要です。食生活では、胃の動きを鈍らせる高脂肪食や、胃酸分泌を増やしてしまうアルコールを控えていくことが必要になってきます。

 

まとめ

過食や高脂肪食、過度なストレスや不規則な生活習慣が生み出す機能性ディスペプシア。心理的要因も多いことから、身体と心、両面を大切にしていくことを心がけていきましょう。胃の働きが重要なカギとなるこの疾患は、『胃に優しい生活』を続けていくこともお奨めです。食事も、暴飲暴食・過食しないようゆっくりと良く噛み、日々気持ちを落ち着かせストレス発散を意識し、『胃』に優しくする習慣をつくること。是非試してみてください。当社のオンライン診断では、予防のお話はもちろん、症状を伺ったうえでお薬をだし、両面からサポートしていきます。是非お役立てください。

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