日本で承認された『子宮頸がん予防「9価ワクチン」』とは?【医師にインタビュー】

【目次】

子宮頸がんは、何が原因?症状は?治療は?
日本で承認された9価ワクチンとはどのようなものなのか?
日本での子宮頸がんワクチンの歴史
ワクチン接種のタイミングと考えられる効果

日本で承認された『子宮頸がん予防「9価ワクチン」』とは?

最近日本で承認された子宮頸がんワクチン。実は知らないことが多く、普及しているといえないのも事実。そんな知っているようで、理解しきれていない子宮頸がんワクチンについて産婦人科医師にお話しを伺いました。


産婦人科 田村真希医師 2003年弘前大学医学部卒業。学生時代は海外での医療ボランティア活動に参加。産婦人科専門医として総合病院、クリニック勤務を経験。海外での診療経験もあり。


子宮頸がんは、何が原因?症状は?治療は?

子宮頸がんのほとんどは「ヒトパピローマウイルス」というウイルスが原因です。そのウイルスには、非常に多くに型があることがわかっています。中でもリスクになるといわれているのは15種類、そのうち9種類のウイルス感染を予防することで90あるいはそれ以上の子宮頸がんを予防できるといわれています。

原因をはっきりと特定できない他のがんと異なり、ウィルス感染により引き起こされることが明らかなため、予防可能ながんといわれています。感染する原因は、性交渉により子宮頚部が傷つき、そこからヒトパピローマウイルスが侵入し拡がることにあります。そのため、性交渉経験のある女性ならば、誰でも感染する可能性がありますが、多くの場合は、その人の免疫力によって発症することのないままウィイルスが体内へ排除されます。しかし、中には排除されず、10年近くの長い年月をかけて、前がん病変である異形成を経てがん化していくこともあるのです。
 

子宮頸がんの早期発見が難しいのは、自覚症状がないことがあげられます。もちろん、進行すると不正出血、おりものの異常などが見られることもありますが、早期発見により治癒も可能となります。初期には自覚症状がないことが多いからこそ、定期的ながん検診が大切と言えます。ゆっくりがん化していく子宮頸がんですが、他のがん同様、ステージにより深刻さも治療も異なります。
 

妊娠希望のある場合などは、子宮頚部の一部を切り取る円錐切除手術が行われ、がんが進行している際は、子宮全摘出の手術になることもあります。また、転移が認められると、放射線治療や、化学療法と併用する治療を行います。

日本で承認された9価ワクチンとはどのようなものなのか?

子宮頸がんを引き起こすウイルスには多くの型がありますが、最もハイリスクと言われているのは、16型と18型。その2種類を予防できるのが2価ワクチンです。加えて6型と11型(尖圭コンジローマなどの良性の皮膚の病気の原因になる型)を予防できるのが4価ワクチン。今まではこの2つが主流でした。
 

そこに、9種類の型(6.11.16.18.31.33.45.52.58)を予防できる9価ワクチンが2020年7月、日本で承認されました。この9価ワクチンは90%の子宮頸がんを予防することが出来る他、他の癌(肛門がん、陰茎がん)の予防にもなるため、男性にワクチン接種をしている国もあります
 

海外では2003年前後には承認され、国のワクチンとして支持している国は92ヶ国にも上り、予防医療として保険でカバーしてくれるため、ほぼ無料での接種ができるようになっている国もあります。
 

これだけ9価ワクチン接種が一般的といわれる中、日本では承認審査から部会通過まで5年もの歳月を要しました。なぜ日本ではこれほど長い歳月がかかったのでしょうか?

日本での子宮頸がんワクチンの歴史

日本では、20134月に予防接種法に基づき、子宮頸がん予防のワクチンが定期接種となりましたが、わずか2ヶ月後の同年6月には、積極的な推奨がされなくなりました。
 

その理由は、ワクチン接種後に疼痛や運動障害などの多様な症状の報告があり、ワクチンの重篤な副反応ではないかと懸念されたからです。その頃国内での報道の影響は大きく、接種が積極的に推奨される他国の状況とは反対に、ワクチン接種率の激減する現象が見られました。特に2002年度以降生まれの女子においては、接種率が1%未満程度と言われています。
 

その後は国内外においても慎重に解析され、現在ではそれらの症状とワクチンとの因果関係は否定的と考えられつつあります。

ワクチン接種のタイミングと考えられる効果

感染ルートが性交渉であることから、性交渉前の年齢が、最も子宮頸癌予防効果が高い年齢として接種が望ましいと考えられます。国によって若干異なることもありますが、9〜13歳が推奨年齢としている国が多いようです。他には、前がん病変になっている人に対して、進行の予防や一度消滅したウイルスの再感染防止の効果なども報告されえており、推奨年齢より上の年代の人にも、一定の効果は期待できると言えます。(ただし、既に子宮頸がんに罹っている方の治癒にはなりません)そして先のとおり、外陰がん、膣がん、男性も発症する肛門がんや陰茎がんの予防にも効果報告されています。
 

最後に、この記事をご覧になっている方へのメッセージをお願いします。

ここ何年も、子宮頸がんワクチン接種率が1%未満の日本。副作用への不安や認知の低さはあるかもしれませんが、現在安全性のレビューも数多く出されています。正しく情報を取り入れ、また、ワクチンと同時に定期的な検診で自身の身体のケアをし、予防を心がけていきましょう。

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