フランスでは当たり前⁉日本にも広がりつつある『メディカルアロマ』にできること【医師にインタビュー】

記事要約

『メディカルアロマ』『アロマテラピー』最近耳にする機会が増えた方も多いのではないでしょうか? 「あれ?アロマセラピーではなくて?」と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。今日は、芳香やリラックスを中心としている「セラピー」ではなく、治癒に向かうお手伝いをする「テラピー」という視点から、先生にお話をお伺いします。フランスでは、当たり前のように普及し、医師も処方する「メディカルアロマ」。医療という観点からも、アプローチするそうです。 今回お話を伺ったのはミューズ先生です。

メディカルアロマとは?

まずは「メディカルアロマ」とはなにか?をお話しします。

日本では、「アロマ」といえば、お部屋に良い香りを漂わせたり、リフレッシュとして使用するなど“芳香”の目的で用いることが多いと思います。ですが、ヨーロッパ、特にフランスでは保険の利く医療として認められている、治療方法の1つになっています。植物の薬理成分を利用して効果を得るという考え方です。植物療法と少し似ているかもしれませんね。どんな文化でも、植物の力で治癒を促していた歴史を考えると、自然な流れなのではないでしょうか?使い方としては、飲む・塗るという形で、医療品として扱われています。日本では、まだまだ馴染みが薄いのですが、漢方や薬草と同じ考え方と思えば、わかりやすいですね。

メディカルアロマを知るきかっけは?

私は医師ですので、もちろんお薬も処方しますが、一方で食事などで自然治癒力を高めることや、代替医療に興味関心がとても高いです。その想いは高校時代からで、漢方などにも深い興味を持っていました。そのため、“ケミカルな薬ではない治療方法”というメディカルアロマに強く惹かれ、医師の立場から学びを続け今に至ります。もし、皆さんの中で、ケミカルな投薬以外で、身体の治癒力を高めたい・代替医療について興味があるという方がいらっしゃったら、一度メディカルアロマを学びとして取り入れてみてもいいかもしれません。

メディカルアロマの歴史は?

メディカルアロマは、ヨーロッパで誕生しました。最初にこの薬理に気が付いたのは、フランス人の化学者(ルネ・モーリス・ガットフォセ)と言われています。自身の実験中にやけどを負った際、ラベンダーの精油を塗ったところ、驚くほど早く痛みや腫れがひき、その経緯や精油を医療に利用していくことについて、本(『Aromatherapie』)を発表し、少しずつ広がっていたようです。次にその効果に注目したのは、やはりフランスの医師でした。その医師達は、化学的な分析も行い、臨床データを集め、検証したことで、認知が広がったと言われています。更に1960年代に入り、軍医だった医師が、負傷者の治療に精油から作成した薬で治療に当たり、その後、民間医として研究と治療を進めていったことで、広く知られるようになりました。化学者や医師の視点が入ったことで、医薬品として扱っていくという歴史ができたのでしょう。現在、フランスでは医師が処方していますが、全医師が処方するというわけではありません。日本で漢方薬を好んで処方される医師がいらっしゃるように、フランスでもケミカルなお薬を処方する医師も、メディカルマロアを処方される医師もいらっしゃいます。また、患者さん側がメディカルアロマの処方を希望されるということもあります。

日本でのアロマテラピー

フランスでは医療品として扱われる「メディカルアロマ」ですが、日本では「アロマ」として雑貨扱いになります。

そのため、現在、日本の医療機関で医師からメディカルアロマを処方されることは、基本的にはないと言っていいでしょう。本当にごく一部の医師が医療に取り入れていますが、あくまで医療の「補完的」に扱われているのが現状です。また、取り入れ方も、「香り」に注目して、リラックス効果がある、憂鬱な気分を回復させるという“香り”でアプローチするという視点が大きいです。しかし、アロマテラピーの考え方・効果は、香り以上に「成分」に注目しています。その成分がリラックスや、皮膚や身体の内部に効果を与えるという考え方です。日本では、このメディカルアロマの処方や医療は、保険適用になっていない点から考えても、医療現場で普通に使われるまでは、もう少し時間がかかるのではないでしょうか?

日常に取り入れるには

「メディアカルアロマ」「アロマテラピー」なんとなく興味が湧いてきたけれど、難しいのかな・・と感じたりするかもしれませんね。ですが、きちんと学べば、難しいことはありません。

ここで、参考までに私が日常生活でどのように取り入れているか、お話致しましょう。

私は、化粧品を作ったり、精油を足したりして、お肌のお手入れに使っています。夏の時期は、虫よけスプレーを作り、自然の(植物の)力で身体を守るようにしているので、とても安心です。また、少し胃がムカムカするような気持ち悪さを感じた時などに塗るオイル(ブレンドさせて)も常時持つようにしています。実は、皆さんが思っている以上に、精油を生活や体調維持に生かせる部分は多いのです。もし皆さんが、生活の中に取り入れてみようと思われた際は、こんなことに気を付けてほしいと思います。それは、通常の雑貨屋さん等で購入するオイルではなく、必ず純度が高く・不純物が入っていないものを使うようにしてほしいということです。一般的な「雑貨」としてのオイルを、経口・経鼻・経皮摂取することは避けるようにしてください。日本でも、高品質・不純物なしのオイルは手に入れることができます。(※巻末参考)また、効果別にレシピ集も出ているので、そのレシピを参考に、ご自身でブレンドして使用することをお奨めしています。ここでは特に夏の時期や女性の皆様のお悩みに適したレシピをご紹介したいと思います。

 ≪月経前症候群≫
クラリセージ 0.5ml
アニス    1.0ml
ボラジ油  28.5ml
1日2回、30滴を月経3日前~月経期間中に接種

≪頭痛≫
ペパーミント 2滴
目の周りを避け、痛みのある患部に塗る

≪日焼け・あせも≫
ラベンダーウォーター       200ml
カモマイル・ローマンウォーター     50ml
ローズウォーター                    50ml
1日5回、患部に適量を塗布

まとめ

「メディカルアロマ」について少し身近に感じて頂けましたでしょうか?

精油を臨床で生かしていける力は充分にあると言われています。また、使い方は1つではないのも精油の奥深いところです。今、日本でも少しずつ認知が広がってきているメディカルアロマ。様々な形で学べる機会も増えています。正しく知ることで、より生活の中で生かすことができるので、ご興味をもたれた方は、ぜひ学んでみてください。皆さんが不調を感じられた、ご自身でケアをしていくことができるサポートのため、アナムネでもこの分野について、さらに掘り下げて、お伝えご提供できるようにして参ります。

<リファレンス>

International College of Aromatherapy Dominiqu
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