実は自分の身体を知る重要ポイント『健康診断』【医師にインタビュー】

記事要約

健康診断について、健診結果の見方を中心に、どんな点に気を付けていけばいいのか、ご紹介。

 健康診断と訊くと、皆さんはどのようなものを思い浮かべるでしょうか?

  • 会社で実施される定期健診や就職時健診といった法定健診
  • 自治体からの案内で地域病院に予約を取り受診する特定健診
  • 自身で予約をする人間ドッグ  等々

健康診断と一口に言っても、色々な形式があります。今日は、その健康診断について、健診結果の見方を中心に、どんな点に気を付けていけばいいのか、ご紹介したいと思います。

今回は、健康診断の活かし方など広くアドバイスをくださる星野先生に、お話しを伺いました。

健診は症状がない時に受けるもの

健康診断ってどんな症状が出た時にうけたらいいでしょうか?受診の目安などありますか?と訊かれることがありますが、健康診断は、『何も症状がない時に受けるもの』『身体に異常がないか発見するもの』です。

前述した通り、健診には会社などで定期的に受ける健康診断や、自治体で年齢や性別によって案内が来る特定健診、そして、健診センターなどに自ら赴き多くの項目検査を受ける人間ドッグなどありますがそのどれも、「頭痛があるから」「胃が重たいから」「最近動悸がするから」等々

何か症状が出た時に受けるものではなく、普段通りの体調の時に受診し、その結果から、危険因子を見つけ早期に治療するためのものです。自分の健康状態を知ることは、病気の早期発見につながるだけでなく、安心した生活を送る上でも大切なことです。

そのためにも、お勤めの方は職場での健診を、自営業の方は自治体などの健診を年に1回は、必ず受診してほしいと思います。

健診で抑えたいポイント

労働安全衛生規則による定期健康診断項目は、10~11項目ほどあります。どれも大切な検査ですが、その中でも身体測定・血圧・血液検査・尿検査はしっかり経過を見て、身体の変化を確認してください。

また健診は、受けることが目的ではなく、一人ひとりが自身の身体と向き合い疾病を予防するための指針にすることが大切です。毎年必ず受診し、結果をきちんと確認し改善する点に着目すること、そして、気になることがあったら面倒がらずに再検査をしっかり受けましょう。

健診を正しく受けるためのポイント

健康診断を正しく受診するために、気を付けることがあります。

よく注意事項として表記されていることですので、紙面などで読んだこともあると思います。最も言われていることは、前日の食事・飲酒・喫煙です。前日21時以降は食事を控え、お酒・たばこも控えるようにしましょう。

また激しい運動も、血液検査でCK(クレアチンキナーゼ)が上昇する可能性があるので控えたほうが良いといわれています。

しかしながら、健診の本来の目的は、普段通りの生活をしていて、健康上の危険因子がないかを見極めるためなので、日常とあまりにも異なる生活スタイルを送り受診するのではなく、ある程度の普段通りの生活スタイルの後、受診することが望ましいといえます。

健診結果の見方・活かし方

ここでは、よく耳にする病気を、健診結果から見出すために、ピックアップしてお伝えしたいと思います。

【血圧】

収縮期(最高)血圧/拡張期(最低)血圧の基準は、それぞれ130/80㎜Hg以下です。もし、基準値を超えている場合は、まずは減塩の食生活・適度な運動・節酒・禁煙を心掛けてください。減塩の目安は6g/日です。

【身体測定】

体重の増減に加え、BMIにも注意してください。25以上の場合は、脂肪肝や糖尿病につながる場合があるので、カロリー過多や間食に注意が必要になります。

【尿検査】

たんぱく尿・血尿がないかと合わせて、腎臓の老廃物を尿へ排泄する能力の指標であるeGFR(推算糸球体濾過量)に異常がないかを確認してください。eGFR値が60以下であれば腎機能の低下が疑われます。

【糖代謝】

血糖値は現代病と言われる糖尿病の大切な指標です。なお空腹時血糖値の正常は100mg/dl以下です。空腹時血糖値が126mg/dl以上の場合、または特に食事からの時間を決めずに測る随時血糖値が200mg/dl以上の場合、加えてHbA1cが6.5%以上の場合は、糖尿病と診断されます。

HbA1cは、過去1~2ヶ月間の血糖値の指標となるので、もし、受診時点の血糖値が基準値以内でも、HbA1cが高いという場合は、健診日より遡った1~2ヶ月の間の血糖値の変動が大きかったことを示しています。

健診時点だけでなく、ライフスタイル全般の食生活や運動習慣を見直していくといいでしょう。

【脂質異常症】

動脈硬化を進行させる生活習慣病の一つに脂質異常症があります。悪玉と呼ばれるLDLコレステロール・善玉と呼ばれるHDLコレステロール・中性脂肪、これらがそれぞれ 140mg/dl以上 ・40mg/dl 未満 ・150mg/dl以上で、脂質異常症と診断されます。禁煙・肉類を控えて青魚や野菜多めの食生活・運動習慣を見直すといいでしょう。

上記は代表的な項目を取り上げましたが、これらの値にならないために、自身でコントロールできることが生活習慣の改善です。血糖値や血圧、肝機能やコレステロールに注意を払い、暴飲暴食・脂質や塩分の多い食事、それらを控えるだけでも、身体の中は変化していきます。

まとめ

健康診断は、一人ひとりが自身の身体と向き合い疾病を予防するための指針にすることが大切だと、最初にお伝えしました。結果を日常生活に活かしてこそ、意味あるものになります。

たとえ標準値であっても、昨年と比較して値に変化があったら(血圧やLDLコレステロールが上がっているか、eGFR値が下がっているか等)年齢によって変化したものなのか、生活習慣の中で悪化してきたものなのかを見極めることです。

病気によっては、糖尿病のように、発症してから10年後に症状が出てくるというものもあります。そのためにも、健診は結果を集積し、自身の適正を知ることが最も大切です。

若いから、面倒だからと後回しにせず、毎年1度、身体の棚卸しだと思って自分の身体と向き合う機会にしてください。

最後に、この記事をご覧になっている方へのメッセージをお願いします。

 健診は病気の早期発見だけでなく、経年変化も見ることで、病気になる前の早い段階で予防策をとることができます。是非定期的に健診を受けて、毎年の生活習慣を見直すきっかけ作りとして、ご自身の健康管理に役立ててください。

健診結果が手元にあっても活かし方が分からないという方、結果に不安がある方は是非アナムネの医療相談をご活用ください。各項目の説明や、受診の必要性など、お一人お一人に合ったアドバイスをさせていただきます。

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