片頭痛|clila疾患情報

【目次】
1.片頭痛とは
2.片頭痛の原因
3.片頭痛の前兆
4.片頭痛の症状
5.片頭痛の診断
6.片頭痛の治療
7.片頭痛の予防法

 

1.片頭痛とは

頭痛は頻度の高い症状であり、本邦において慢性的な頭痛を抱えている人は片頭痛で800万人以上、緊張型頭痛で2000万人以上存在すると推測されています。女性は男性の3.6倍多いことが言われており、特に20代~40代の若い女性に多く、未成年の有病率は高校生9.8%、中学生4.8%と比較的多いのが特徴です。
片頭痛は強い痛みを起こし体を動かすことで痛みが増すため、仕事や日常生活への支障が大きい頭痛で、頭痛の始まりからピークまでの時間経過が特徴的で突然始まり30分から1時間で痛みのピークに達します。そのため患者さんは「何時頃に起きた」と記憶していたり、寝ている間に起こった場合は痛みで目を覚ますことがあります。始まった時にキラキラと何かが見えたり、頚のあたりがゾワゾワするなど様々な前兆があります。痛みは片側又は両側に生じます。吐き気や嘔吐・眠気をともなうことや、光や音、匂いに敏感になる場合もあります。症状の持続時間は4~72時間程度で、症状が消えると普段と変わりなく過ごせます。症状を起こす頻度は数ヶ月に1回から週に数回と個人差があります。適切な薬を使うことで緊張型頭痛よりも痛みのコントロールが容易にできることがあります。

 

2.片頭痛の原因

片頭痛が生じる原因ははっきりとわかっていませんが、現在最も有力な病態仮説として三叉神経血管説があります。片頭痛は脳の硬膜に分布する血管が何らかの刺激によって炎症を起こして拍動することで生じると考えられていましたが、実際に片頭痛の患者さんの血流を計測してみた結果、片頭痛やその前兆は血管ではなく、脳内の何らかの神経細胞が発作的に興奮しその結果、神経が機能不全に陥って起こることがわかってきたのです。何らかの理由で脳の視床下部が刺激されることで、顔の感覚を脳に伝える三叉神経に炎症が起こったり、脳の血管が急激に拡張したりすることで独特の脈打つような痛みが生じるという説がありますがはっきりとした原因は解明されていません。脳の視床下部は自律神経、睡眠、食欲、女性ホルモンの分泌などを司っていることから、寝不足、寝すぎ、空腹、疲労、ストレス、ストレスからの解放、大きな音、強い光、強い臭い、人混み、気圧・温度・湿度の変化、飲酒や喫煙、出産、更年期、月経や排卵といった日常生活の行動や環境の変化、女性ホルモンの変動等が片頭痛を誘発すると言われています。月経が始まる2-3日前から片頭痛特有の激しい頭痛が始まり月経開始後2日目頃に痛みのピークに達し、その後徐々に痛みが消失していくよう片頭痛を「月経関連片頭痛」と言われており、これは三叉神経血管説とは異なるメカニズムで症状が現れるといわれていますが詳細は不明です。その他、電車などの移動中に見る窓越しの風景や、車やバスなどの振動も脳の刺激につながるとされています。また血管を収縮、拡張させるポリフェノールなどが含まれるオリーブオイル、チーズ、赤ワインなどの過剰摂取も片頭痛の引き金になることがあります。

 

3.片頭痛の前兆

2004年に作成された国際頭痛学会の分類では片頭痛を「前兆のある片頭痛」 migraine with aura と「前兆のない片頭痛」 migraine without aura に分けています。片頭痛患者さんの2-3割は片頭痛が起こる前に前兆を感じるとされています。特徴的な光や視野の一部が欠けるといった視覚的な前兆や感覚が鈍くなる、言葉を話しにくくなるといった前兆を起こすこともあります。前兆は5分から1時間程度で消え、その後頭痛の症状が現れます。
特に片頭痛の前兆として知られているのは、閃輝暗点(せんきあんてん)です。突然視界に鋸状のギザギザした光が現れ、その光は時間と共に徐々に拡大していきます。数分から長くて1時間程度続きます。10-30分ほど持続することが多いですが、やがてギザギザの光は見えなくなります。次に暗点が現れその後、頭痛がはじまります。このような前兆はない場合もあります。

 

4.片頭痛の症状

片側あるいは両側のこめかみから目のあたりにかけて心臓のリズムに合わせて脈を打つようにズキズキと痛むことが多いです。個人差はありますが、月に1-2度、週に1-2度といった頻度で周期的に起こるのが特徴敵です。痛みは30分から1時間でピークに達して4時間程度で終わることもあれば3日程頭痛が続くこともあります。体を動かすと痛みが増し、嘔気・嘔吐、下痢といった症状も伴うため仕事や家事など日常生活に支障を来たします。

 

5.片頭痛の診断

片頭痛の診断は国際頭痛分類の診断基準に従ってされます。 

 ①過去に発作が5回以上ある
 ②頭痛が4-72時間続く
 ③特徴として次の4つのうち2つ以上を認める 
  片側性、拍動性、中等度から重度の頭痛、日常動作で頭痛が悪化する
 ④過敏症状
  嘔気・嘔吐、光過敏と音過敏
 ⑤その他の疾患による頭痛ではない

基本的には問診により診断可能な疾患ですが、くも膜下出血や脳腫瘍、もやもや病等、その他の疾患を除外するため、頭部CT又はMRI検査を行うことが推奨されます。

 

6.片頭痛の治療

主な治療は薬物療法です。三叉神経周辺の炎症を抑え脳の血管を収縮する働きで片頭痛発作を抑えるトリプタンが最も使用されています。内服して約30分で薬の効果が出現するため「前兆」がある場合、その時に内服すると痛みに至らず軽快することがあります。頭痛が軽度か、もしくは片頭痛発作早期(発症より1時間ぐらいまで)が効果的とされています。水がなくても飲める口腔内崩壊錠(OD錠)、吐き気があるときにも使える点鼻薬もあります。但し、高血圧や心疾患、脳血管障害、肝臓病などがある場合はこれらの病気を悪化させる可能性があるため、内服に関しては医師との相談が必要です。一般的な鎮痛剤である非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)も用いられます。また発作が頻回(月3回以上)、頭痛が酷い、何らかの理由でトリプタンが使えない、予防した方が経済的に安い等の理由がある場合には予防薬が使われることもあります。予防薬にはβ遮断薬、カルシウム拮抗薬、抗てんかん薬、抗うつ薬などがあります。また予防薬の新薬も販売されています。片頭痛の原因に関与しているとされるCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)に結合することで三叉神経系の活性化を抑制すると考えられています。

 

7.片頭痛の予防法

片頭痛は日常生活に支障を来たしやすい疾患であり、可能な限り発作が起きないように予防することも大切です。

①規則正しい生活を送る。
②明るい日差しや照明を避け、パソコンの輝度を和らげる。
③寝不足や寝過ぎを避け、就寝時刻や睡眠時間を適量一定に保つ(6.5-8.5時間)。
④激しい運動は避け、運動不足にならないようストレッチやラジオ体操、散歩などを心がける。
⑤アルコールで誘発される方は控えるべきですが、チーズやチョコレートなどの食物は誘発されたことがなければ神経質になることはありません。
⑥肩こりの誘因(悪い姿勢、眼精疲労、寒冷・冷気、虫歯・歯肉炎、腰痛など)排除や肩こり対策(肩回し体操や速歩散歩などの適度の運動、入浴)を日頃から心がけておく。
⑦低血糖を避ける。
⑧マグネシウム、ビタミン類を積極的に接種する。

 

姫野愛子消化器内科医  2010年国立大学医学部卒業。消化器内科医として大学病院、地域基幹病院にて臨床経験を積み一般内科及び消化器内科疾患を対応。内科認定医、消化器病専門医、内視鏡専門医を取得。

 

<リファレンス>
・日本頭痛学会・国際頭痛分類普及委員会: 国際頭痛分類第3版beta版. 東京: 医学書院; 2014. p.1-203
・慢性頭痛の診療ガイドライン作成委員会: 慢性頭痛の診療ガイドライン2013. 東京: 医学書院; 2013. p. 1-349
・臨牀と研究. 片頭痛 93:1230-1306, 2016
・日本医事新報. 4819:36-42, 2016

 

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