強迫性障害|疾患情報【おうち病院】

記事要約

強迫性障害とは、自分で不合理だと頭ではわかっていても、どうしてもある事柄が頭から離れなかったり、何度も同じ行為を繰り返してしまうことで日常の生活にも影響が出てきてしまうものです。強迫性障害の原因・症状と治療方法・改善対策を解説

強迫性障害とは

強迫性障害とは、自分で不合理だと頭ではわかっていても、どうしてもある事柄が頭から離れなかったり、何度も同じ行為を繰り返してしまうことで日常の生活にも影響が出てきてしまう病気です。

自分なりのラッキーカラーやラッキーナンバーを気にしたり、朝家を出てから戸締りやガスの元栓などが気になってしまったりすることは比較的よくあることだと思います。これが直ちに強迫性障害ということではありませんが、自分の気になることや、こだわりとが度を過ぎてしまい、それをしないことで強い不安感にとらわれてしまったり、日常生活、社会生活に不都合が生じてしまうレベルに達してしまったものを強迫性障害と呼びます。  

原因

強迫性障害の原因は、ストレスや生まれ持った性格、これまでの生育歴など色々な可能性が言われていますが、はっきりしていません。今後の解明が望まれます。

相談の目安

自分で不合理だとわかっているのに、どうしてもそのことを考えてしまうことを止められなかったり、その考えに基づいて行う行為、例えば何度手を洗っても不潔な気がして何時間も手を洗い続けたり、ドアのかぎがかかっているか、何度も出勤途中に確認に戻ってしまい会社に遅刻する、といったように日常生活に具体的に影響が出てしまっている場合、強迫性障害の疑いがあるので、精神科を受診するようにしましょう。また、自分では普通だと思っていても、家族や身近な人からこだわりの強さや行為を指摘されたり、受診を勧められた場合にも念のため一度精神科で相談してみることをお勧めします。

疫学的整理

一般人口の1~2%程度が強迫性障害に罹患しているというデータがあります。

海外動向

日本では欧米に比べ、精神科の受診患者さんのうち、強迫性障害の患者さんが占める割合が少ないともいわれています。

WHOの指定する経済的損失や患者さんの生活の質(クオリティオブライフ、QOL)にかかわる10大疾病の一つにも数えられています。

症状(潜伏期間・感染経路等)

強迫性障害の症状には大きく分けて、「強迫観念」と「強迫行為」の二つがあります。

強迫観念

どうしても頭から追い払うことのできない考えを言います。自分でも、考え過ぎている、気にし過ぎだというような自覚があっても、やはりその考えにとらわれてしまうものをさします。

具体例としては、常に細菌やウイルスに感染していないか不安になる、車で人を轢いたのではないかと考えてしまう、ラッキーナンバーや不吉な数字のことばかり考える、などが挙げられます。

強迫行為

強迫観念に基づいた不安に突き動かされて行う行為のことです。自分でもいい加減にやめたいと思っているにもかかわらず、どうしても不安で何度も何度もその行為を行ってしまいます。

具体例としては、電車の手すりやドアノブなどに病原体が付着している気がして触れない、あるいは何度も除菌スプレーやアルコールなどで消毒したり、触れた手を長時間洗い続けたりすることがあります。また、車で通った場所を人を轢いていないか何度も確認に出かけたり、ひき逃げなどのニュースがあると自分が関係していないか繰り返し周囲の人に確認したりする場合もあります。

また、ラッキーナンバーや不吉な数字に関しては、自分の歩数をずっと数えて問題のない数字になるまで外出できない、用事があるのに自分のラッキーナンバーではない階にはいけない、ということもあります。

重症化しやすい場合

強迫性障害の症状は精神的なストレスがかかると悪化しやすいといわれます。

例としては引っ越しや入学などを機に、強迫観念や強迫行為がひどくなる場合があります。

診断の方法

強迫性障害の診断は、精神科で行われることが多いと思います。強迫性障害には広く使われている診断基準が2つありますが、いずれの場合もポイントとなるのは、強迫観念および強迫行為が持続して存在し、そのために毎日の生活に強い影響を与えていること、そのために本人や周囲が苦痛を感じていることです。行為を行うことが本人にとって苦痛であり、快楽を伴わないことが依存との違いともいえます。これらの診断基準をもとに、患者さん本人や、その方の日常生活をよく知る方からのお話を聞いて診断していくことになります。

診断の難しさ

強迫性障害では、どこからどこまでがいわゆる「神経質」な性格によるもので、どこからが病的なものか判断することが難しい場合があります。もちろん例外もありますが、基本的にはどの程度その症状が本人の生活や周囲に影響を与えているか、によって強迫性障害の診断がなされることになります。

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