大理石骨病|clila疾患情報

目次

1.大理石骨病とは
2.大理石骨病の原因
3.疫学
4.大理石骨病の症状
5.大理石骨病の診断法
6.大理石骨病の治療法
7.補足

 

1.大理石骨病とは

破骨細胞の機能不全により骨の代謝が障害された結果、びまん性の骨硬化を生じる症候群です。骨の硬化が進み骨髄腔が狭小化することで骨髄機能不全(貧血、易感染性、肝脾種、出血傾向など)を引き起こします。さらに頭蓋骨の骨肥厚により脳神経症状(視力障害、聴力障害、顔面神経麻痺など)を生じることがあります。異常な骨代謝によってできた骨は骨質が悪く、骨硬化を認めるにも関わらず脆弱で骨折しやすいという特徴があります。
病態により分類され、重症の新生児/乳児型、中等度中間型、軽症の遅発型、腎尿細管アシドーシスを伴う病型があります。
 

2.大理石骨病の原因

破骨細胞の機能に関する複数の遺伝子異常(TCIRG1CLCN7OSTM1TNFSF11TNFRSF11PLEKHM1CA2LRP5NEMOKIND3CalDAG-GEF1)が報告されています。またこれらの遺伝子に変異の見つからない症例もあり、未同定の原因遺伝子の存在が推察されます。

<遺伝形式>

常染色体優性遺伝:遅発型
常染色体劣性遺伝:新生児/乳児型、中間型、腎尿細管アシドーシスを伴う病型

 

3.疫学

遅発型の発生頻度は10万人に1人とされています。本邦での患者数は約100人ほどとされています。
 

4.大理石骨病の症状

新生児型/乳児型:

早期より重度の骨髄機能不全、肝脾腫、脳神経症状、水頭症、低カルシウム血症、成長障害などを呈します。汎血球減少(白血球、赤血球、血小板の全てが正常よりも減少)となるため感染や出血を生じやすく、幼児期までの死亡率は高く予後不良とされます。

中間型:

小児期に発症して骨折、骨髄炎、難聴、低身長、歯牙の異常など種々の症状を呈しますが、骨髄機能不全は重篤ではないものの長期予後については不明です。

遅発型:

骨髄機能不全は認めないかあっても軽度とされます。そのため自覚症状が少なく、病的骨折、下顎の骨髄炎、顔面神経麻痺などの症状から偶発的に診断されることが多い型です。生命予後は良好とされます。そのため加齢とともに骨折の遷延治癒や偽関節(骨折部が癒合せずあたかも関節のようにグラグラ動く状態)、骨髄炎、進行性の難聴などが日常生活における問題となり、長期にわたる治療が必要となることがあります。

 

5.大理石骨病の診断法 (難病情報センターより引用)

<診断基準>

Definite、Probableを対象とする。

 大理石骨病の診断基準 

A.症状
  1. 病的骨折
  2. 肝脾腫
  3. 脳神経症状(視力・聴力障害、顔面神経麻痺など)
  4. 骨髄炎
  5. 歯牙形成不全
 B.検査所見

1.血液・生化学的検査所見

①貧血(11.0g/dL以下)
②白血球減少(3,000/µL以下)
③血小板減少(10万/µL以下)
④低カルシウム血症(総血漿カルシウム濃度 8.0mg/dL以下)

2.画像検査所見

①びまん性骨硬化像
②頭蓋底や眼窩縁の骨硬化像
③長管骨骨幹端のErlenmeyerフラスコ状変形
④サンドイッチ椎体・ラガージャージ椎体

 C.鑑別診断

以下の疾患を鑑別する。

濃化異骨症、骨斑紋症、流蝋骨症、骨線状症、カムラティ・エンゲルマン症候群(骨幹異形成症)、異骨性骨硬化症

 D.遺伝学的検査

TCIRG1CLCN7OSTM1TNFSF11TNFRSF11PLEKHM1CA2LRP5NEMOKIND3CalDAG-GEFいずれかの遺伝子変異を認める。

 

<診断のカテゴリー>

Definite:

(1)Aのうち3項目以上+Bのうち4項目以上を満たし、Cの鑑別すべき疾患を除外したもの
(2)Aのうち1項目以上+Bのうち3項目以上を満たし、Cの鑑別すべき疾患を除外し、Dを満たすもの

Probable:Aのうち2項目以上+Bのうち3項目以上(ただし、Bの2のいずれかを含む。)を満たし、Cの鑑別すべき疾患を除外したもの

 

6.大理石骨病の治療法

1. 造血幹細胞移植

破骨細胞系列の細胞に発現する遺伝子の変異による大理石骨病に対しては、造血幹細胞移植が行われています。神経管狭小化にともなう神経症状の進行を抑制する意味でも早期の移植が必要であると考えられています。

2. その他

各症状に対する対症療法が行われます。

治療について特記すべきことは、本症患者の骨折治療は非常に難渋することが多いという点です。異常な骨硬化を認めるため手術に際し骨折部を接合する固定具の設置困難、破損などの報告が多くあります。骨髄腔の今日消化のため髄内釘による固定は困難なことが多く、より侵襲の大きいプレート固定が選択される傾向にあります。また、術後も骨折の治癒が遷延したり、骨癒合が得られず偽関節となる症例もあります。この場合は再手術が必要になります。骨癒合を促進する超音波機器も併用しますがそれでも治療に難渋する症例があるのが現状です。

 

7.補足

<骨代謝とは>

骨は骨吸収と骨形成によって新陳代謝が繰り返されています。破骨細胞によって古い骨が破壊・吸収され(骨吸収)、骨芽細胞によって新しい骨が形成されています(骨形成)。正常な骨代謝では骨吸収と骨形成のバランスは保たれています。しかし破骨細胞が機能不全した本症では、骨吸収が障害されたまま(古い骨を残したまま)骨形成が起こることになります。そのため異常な骨硬化を認めます。骨質にも異常が生じます。レントゲン上では骨硬化を認め丈夫そうに見えますが、骨はもろく骨折が起こりやすい特徴があります(易骨折性)。しかし一方で骨折手術時には、固定具を設置するのに苦労するほど骨が硬いという矛盾があります。さらに骨代謝が正常ではないため骨折の治癒は遷延する傾向にあります。本症に骨髄炎が起こりやすいのも骨吸収が障害され新陳代謝が悪いことによると考えられます。



リファレンス

難病情報センター 大理石骨病(指定難病326)

https://www.nanbyou.or.jp/entry/5393

難病情報センター (11)整形外科疾患分野 大理石骨病(平成24年度)

https://www.nanbyou.or.jp/entry/3160

小児慢性特定疾病情報センター 大理石骨病

https://www.shouman.jp/disease/details/15_02_006/

大理石骨病に伴った大腿骨転子下骨折の1例 整形外科と災害外科 65: (3) 603-606, 2016

https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/65/3/65_603/_pdf

国立研究開発法人 日本医療研究開発機構

https://www.amed.go.jp/news/release_20200307.html

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