正しく知りたい!この心臓ドキドキの要因は?【医師にインタビュー】

記事要約

激しい運動をした後でも、何かに驚いたわけでもないのに、突然胸がドキドキしたり、意識していないのに自分の鼓動を強く感じたり、脈が飛んだり…心臓の近くで起こる症状なだけに、「心臓に何かあったのかな」「もしかしたら大きい病気かも」と不安になることが多い『動悸』。今日は、私たちの身近でよく起こるこの「動悸」についてお話を伺いました。

正しく知りたい!この心臓ドキドキの要因は?

激しい運動をした後でも、何かに驚いたわけでもないのに、突然胸がドキドキしたり、意識していないのに自分の鼓動を強く感じたり、脈が飛んだり…心臓の近くで起こる症状なだけに、「心臓に何かあったのかな」「もしかしたら大きい病気かも」と不安になることが多い『動悸』。

今日は、私たちの身近でよく起こるこの「動悸」についてお話を伺いました。

動悸が起こる要因は?

内科的な要因としては、不整脈や狭心症、心筋梗塞、心不全などの心臓病以外に、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患、肺塞栓症などの呼吸器系の病気、甲状腺の病気や低血糖、貧血、発熱などが挙げられます。

その他、精神的なストレス、脱水、睡眠不足、喫煙、カフェインやアルコールの摂りすぎ、更年期障害など要因は多岐に渡ります。

治療が必要な動悸と治療が不要な動悸の見分け方は?

一口に動悸と言いましても、その要因によって動悸症状の出方や随伴症状がそれぞれ異なってきます。

脈が一時的に早くなる、脈が抜ける、一瞬、胸がつまるような感じがする動悸の場合、期外収縮という不整脈で、命に別状はなく、治療が必要ないものがほとんどです。

脈がドキドキと感じられる時間が長くなったり、動悸以外の症状を伴ったりする場合、治療を要する動悸の可能性があります。

心房細動や発作性上室性頻拍などの不整脈、その他の心臓病、呼吸器系の病気では、動悸に加えて息切れが伴うことが多いですが、胸が痛い、息苦しい、めまい、冷や汗、意識消失などの症状もある場合には、緊急性が高くハイリスクな動悸になります。

甲状腺の病気では、首の腫れ、手の震え、多汗など。貧血では、疲れやすい、息切れなど。低血糖では、強い空腹感、冷や汗などの症状を感じることがあります。

このような動悸以外の症状も、診断の手掛かりになりますので、受診した際には、ぜひ医師に伝えるようにしましょう。

どんな時に病院にいく?

動悸を感じた時に、どんな病気でどんな治療が必要なのか、ご自身で判断されるのはとても難しいと思いますので、以下の目安をご参考にしていただければ幸いです。

  • 動悸が30分以上続く
  • 毎日のように動悸を感じる
  • 安静時の心拍数が120回/分以上
  • 意識が遠のく感じがする

もし上記にあてはまらなかったとしてもあくまで目安ですので、動悸の症状があり少しでも気になることがある場合は一度病院で検査を受けた方がよいでしょう。

何科を受診すべき?どんな検査や治療を行う?

動悸を感じた際、何科を受診するべきかということもよく訊かれます。もちろん一般的な内科を受診されても検査は可能ですが、もしお近くにありましたら、循環器内科を受診いただくことをお奨めします。

原因を調べる診察としては、心電図・胸部レントゲンで調べることが一般的です。特に不整脈の場合は、心電図でその種類や重症度を判断することができますが症状が出ている時の波形で判断するため、もし症状が治まってから受診される場合は、24時間ホルター心電図という検査で、一日の中でどのような波形が出るのかを調べることができます。

24時間と聞くととても大変な検査のように思われますが、実際には機械をつけたまま日常生活を送り、翌日病院で外し返却するものになりますので外来でお受けいただける検査になります。

甲状腺や貧血などの内科的な病気の有無について調べる場合は採血を行い、さらに必要に応じて超音波検査やCT検査が追加で行われることもあります。

病院で検査を受けた結果、期外収縮という不整脈の診断の場合、ほとんどの方で治療は不要ですが、例外的に動悸の不快感が強い場合や動悸が頻発して心臓に負担がかかる可能性がある場合などは、薬を飲むなどの治療が必要となります。

発作性上室性頻拍や心房細動などの治療を要する不整脈の場合は、内服や点滴、電気ショック治療、アブレーション治療などを行うケースもあります。その他の内科的な病気や更年期障害の場合も、それぞれに適した治療を行っていきます。

精神的なストレス、脱水、睡眠不足、喫煙、カフェインやアルコールの摂りすぎなどが要因と考えられた場合、その要因の解消に努めていただくことで動悸を改善することができます。

更年期障害との関係は?

更年期になると、胸がドキドキしたり、身体が火照って汗が出たり…
という方が多くいらっしゃるように、更年期障害の症状の1つにも動悸があります。

更年期障害と動悸にはどのような関係があるのでしょうか?

更年期になると、卵巣機能が低下してしまうことで、エストロゲンというホルモンの分泌量が減ります。その結果、エストロゲンの分泌を促す脳の視床下部から分泌されるホルモンが増えることにより、自律神経のバランスが崩れて、交感神経が過度に活性化され
血圧や心拍数が上昇するために動悸を感じるという仕組みです。

またエストロゲンというホルモンには、心臓や血管を保護する作用もあるため、エストロゲンの減少により実際に心臓病に罹り動悸を生じる場合もあります。

更年期障害の動悸だからと決めつけず、動悸を感じる時間の長さや頻度、他の症状はないかなど、自分の身体の声を聴いてあげることが大切になります。

予防する方法はある?

動悸の症状の多くは、自律神経の乱れが要因となります。そのため予防法として、自律神経を整えることが大切になってきます。

具体的には…

  • 1日のうち30~60分ぐらい日光を浴びる
  • 意識して大きな深呼吸や、腹式呼吸を行う
  • 疲れやストレスをため過ぎず、充分な睡眠をとり規則正しい生活を送る
  • 38~40℃程度のお風呂につかる、有酸素運動や就寝前のストレッチをする
  • アルコールやコーヒーなどカフェインを多く含む飲料をとりすぎない

上記のような生活習慣により、動悸を予防することができます。

さらに、生活習慣病を引き起こさないよう日々の食生活に気をつけることで、動悸の原因になる心臓病になるリスクを減らすことができます。

まとめ

動悸は要因も、症状の出方も様々です。大部分の方は治療の必要がないと診断される可能性が高いのですが、治療が必要な病気の兆候である可能性もありますので、少しでも気になる動悸の症状がある場合には、ぜひ一度受診していただくことをお勧めさせていただきます。

動悸が長時間つづいたり、息切れなど他の症状を感じたりする場合は、なるべく早めに、内科や循環器内科の受診を心がけましょう。

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