出産した女性は誰でも注意が必要!!産後うつの実態とは?【医師にインタビュー】

【目次】
実は10人に1人が発症
原因は?注意する点は?
治療方法はあるの?
産後うつにならないためにできることがある?
まとめ

 

出産した女性は誰でも注意が必要!!産後うつの実態とは?

出産し新しい家族を迎えてとても嬉しい時間!しかしその楽しい時期を、辛い時期に感じてしまう、それが「産後うつ」です。今日は、出産経験のある女性ならば誰もが注意を必要とする、この産後うつについてお話を伺いました。


精神科 内田りえ医師
2015年医学部卒業。初期研修修了後精神科医としてこれまで総合病院、メンタルクリニックに勤務。


実は10人に1人が発症

産後うつとは、出産してから数ヶ月のうちに発生したうつ症状のことをいいます。具体的には、「眠りたくても眠れない」「気分が落ち込みやる気がでない」「いつも出来ていたことが全くできない」「食欲がわかず、体重減少する」などがあげられます。重症になると、「自分は居なくてもいい存在と感じてしまう」「我が子を可愛いと思えなくなる」といった症状になることもあります。

産後うつを発症される方は、出産を経験した女性10人に1人と言われ、決して少なくないことが分かります。これも表面に出ている数字なので実際はもう少し多いかもしれません。そうです、珍しいことではなく出産経験のある女性は誰もが罹患する可能性があるのです。

多くの方が経験する症状だから気にすることではないというわけでは決してありません。“それだけ出産後は辛いんだ”“それだけ大変なことを私はやり遂げているんだ”と自分自身を褒め、周囲も共感・労りを表現することが大切になってきます。
 

原因は?注意する点は?

多くの方が罹患するこの症状。原因や罹りやすい資質などはあるのでしょうか?

一般的には、ホルモンバランスの乱れが脳の神経伝達物質に影響を与え、産後うつにも影響するといわれています。女性は元々生理によってホルモンバランスを乱し易く、うつ病の罹患率が元々男性より高いことからも注意が必要です。

その他、妊娠、出産前からうつ傾向を持っていた方は大きな要因になります。

真面目で一生懸命・自尊心が低いなどの性格傾向があり、妊娠前に不安に駆られたり、うつ傾向を持ったことがある方は、妊娠中に医師や助産師に相談しておくことをお薦めします。

そして、出産後は誰もが経験する睡眠不足、産後の疲労、ストレス、周囲のサポート不足も産後うつの原因と考えられています。また、母乳育児への強いこだわりや、ネット等で情報を取り過ぎ不安になってしまうことも影響を与えているのではないかと個人的には考えます。

自分では気が付き難い産後うつですが、兆しのようなものはあります。今まで出来ていた家事育児が全く手につかなくなった時や、眠れなくなった時、食欲が低下した時などは、注意が必要です。

また、家事や育児は出来ていても、泣き止まない赤ちゃんを見て「自分は母親失格だ」と感じてしまったり、自分に自信を無くし不安が募ってくる時は、自分を責めずに、病院に行くようにしましょう。

治療方法はあるの?

「自分が頑張ればいい」と考え、心療内科・精神科に足が遠のく方がいらっしゃいますが、産後うつはきちんと治療をする必要のある病です。

治療は大きく分けて3つあります。

薬物治療
授乳中でもあっても、内服の必要がある場合は医師の判断で飲めるお薬が処方されるので、授乳中だからと躊躇せず、受診し相談するようにしましょう。

心理的援助
軽度の場合は、助産師や保健師に定期的にお話を聴いてもらうことで気持ちが満たされていく場合があります。症状が重くなってきた場合は、臨床心理士や精神科医の診察やカウンセリングをうけることをお薦めします。

環境調整

可能な限りお母さんが休める時間を作ったり、昼間であっても睡眠確保のため周囲がサポートするよう調整することです。

この環境調整は、調整が実際には難しく産後うつが長期化される方もおられますが、薬物治療や心理的援助と併せて取り入れることが治療に有効です。

 

産後うつにならないために出来ることがある?

不測の事態が多い育児は、お母さんは悩みや不安やストレスで通常の状態ではいられません。自分で自分を認め褒めることや、完璧主義をやめ周りに子育てを手伝ってもらうことも有効です。そして困っていること、不安なこと、イライラすることを、パートナーや家族に聴いてもらうようにしましょう。子育てを自分一人でやろうと思わずに、

パートナー・家族・友人、行政の力も借りる勇気をもつことも大切です。

そして、周囲の方々は、話をしっかりと聞き、お母さんを休ませてあげる時間を作ることを意識してほしいと思います。心と体を休める時間は、うつ病の発症予防に繋がると言われています。

 

まとめ

 「産後は誰もが大変。自分だけではない、私は他と違ってダメなのかも」などと考えて、知らぬ間に罹患してしまい、気は付かないことが多い産後うつ。ですが、産後うつは、治療の必要な心の病気です。

一人で抱え込むことはせず、周囲に頼ったり、眠る時間を確保したりと、体と心を休ませるようにしましょう。周囲のサポートが難しい場合、市区町村の支援センターや、精神科のカウンセラーを頼るようにしてください。

また、周囲の人たちは、励ましたり応援するだけではなく、物理的に楽にしてあげる、共感して認める、出来ていることを褒めるなど、精神的な不安定さを理解して協力していくといいでしょう。

本記事は、是非男性にも読んで頂き、母となった女性の心身の変化に気が付いて頂きたいと思います。

 

最後に、この記事をご覧になっている方へのメッセージをお願いします。

一般に『幸せいっぱい』と考えられがちな妊娠・出産ですが、女性の人生において大きな転換期であり、強いストレスを感じることはおかしいことではありません。産後うつという言葉は近年浸透してきているように思いますが、まだまだその実態は知られておらず、具体的な支援策なども不十分ではないのが現状ではないかと思います。

適切な支援が得られ、女性が追い込まれることのない社会に近づくことを願っています。

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