共通するニーズを持つもの同士が生み出す力!!『ピアコミュニティ』とは【医師インタビュー】

共通するニーズを持つもの同士が生み出す力!!『ピアコミュニティ』とは

皆さんは、「ピアコミュニティ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?日本ではまだまだ馴染みがないので、聞いたことないという方も多いのではないでしょうか?海外では、多く普及しているこのピアコミュニティ。その背景や意義、今後の展開についてお話をお伺いしました。医療という観点から大変大きな役割を果たすピアコミュニティについて、知って頂くきかっけになったらと考えています。

 

仁科 有加  総合内科専門医 順天堂大学卒業後、関東周辺や僻地での内科研修中に公衆衛生に関心を持ち、フランスにて公衆衛生修士号を取得。国立がん研究センター勤務を経て、OECD医療課に勤務中。メンタルヘルスや終末期医療の政策提言に携わる。「コロワくんの相談室」にてコロナワクチンの情報提供を行う。関連書籍「新型コロナワクチンQ&A100」

 

ピアコミュニティとは?

今回の主役、ピアコミュニティとはなにか?をお話しします。

ピアとは「仲間」という意味で、コミュニティは文字通り「集まり」をあらわし、共通するニーズを持っている仲間が集まる場(物理的な場ではなく、集まることができるフィールド)を意味します。医療の世界はもちろん、教育の現場でも多くのコミュニティが生まれています。医療の観点では、同じ病気や症状を経験した方々やそのご家族が、情報交換をしたり、体験を共有することで、助け合いをしていく自助団体になります。海外では多くのコミュニティがあり、広く認知されていますが、日本ではまだまだ知っている方のほうが少ないというのが現状です。それでも近年は、多くのコミュニティが誕生し、罹患した方々やそのご家族にとって貴重な情報収集・心の拠り所になっています。主にはガン患者さんが、治療方法や症状について語ったり情報を求めて発信したことからスタートし、アルコール依存症の方や、難病指定を受けた方々が、体験談や乗り越え方、治療やお薬の情報などを共有しています。自身や家族が罹患してしまうと、落ち込んだりパニックになったりしてしまう中、同じ体験やニーズを持った方々との交流は、治療と同じくらい大切で、精神面の支えや、次への希望につながるケースもあります。実際に、ピアコミュニティに所属することで、QOLが上がるという効果も報告され、医療全体の質を上げるといわれています。

 

どうやって誕生するの?運営や主催や運営は?

では、このピアコミュニティの主催や運営どうなっているのでしょうか?それはコミュニティによって異なりますが、

その病気を経験した人やご家族が立ち上げるケースが最も多く、最近はSNSによる発信で仲間を探すケースや、病院主体となるケースもあります。近年、提供する医療の質を高めるために、医師や病院側が、コミュニティ運営のお手伝いをし、その情報を医療現場で活かしていくという関わりも増えてきています。

今後はもっと病院が媒体となって、病気や症状によって、適切なコミュニティを伝えていくことも大事な課題になるでしょう。私たち医師も、病気の診断を受けた方々に、「どのように病院と関わってきたか」「医師からピアコミュニティの案内はあったか」「どのように感じたか」などアンケートを行い、ピアコミュニティを知らなかった方には、存在自体をお知らせできるように、知っていたが詳細が分からず躊躇していた方には、活動や内容をしっかり届けていくという動きをしています。情報は、キャッチアップしにくい方には届かないので、病院や医療機関が正確に必要な方に届けられることが重要になります。現在でも、癌センターや小児ガン専門機関などは、積極的に情報発信や案内をしています。

 

ピアコミュニティで行われることってどんなこと?

ピアコミュニティでは、主に以下のようことが行われています。

  • 薬や治療法の情報交換
  • 患者さんの家族として、病気との向き合い方の共有
  • 治療法、暮らし方、トラブルや心の持ち方、ライフイベントでの対処方法
  • 難病指定や治療薬認定依頼の発信

治療そのものではなく、「経験者(患者)」や「そのご家族」が、病気と向き合い、お互い支えられている場で、心の安らぎや治療に向かう力を生み出したり、公共機関に発信をしたり、QOL(クオリティオブライフ)を上げていくことが、目的になっています。また、メジャーでない病気のコミュニティの場合、通常以上に情報や知識や体験が少ないので、専門医に来てもらい、話を聞くという形もあります。

情報だけを見つけようと探していても、なかなか見つけられないことが多いので、症状で困っている方や、経験者を探していくほうが、出会いたい人・出会いたい情報に繋がる確率が高くなります。

 

日本の国民性と広がり

先述のとおり、海外は広く普及していますが、まだ日本では一般的に知られているというところまでは至っていません。それは何故なのでしょうか?それは、日本人は、悩みをあまり人に話さず、医師と相談して解決するという意識が強いからだと考えられています。声を上げ助けを求めることが苦手な人が多く、さらに病気の診断をされると視野が狭くなり、広く情報を取りにいったり助けを求めることはしなくなってしまいます。

それでも近年は、ボランティアの一環として活動していたピアサポーター(共通のニーズを持つもの同士の助けあいをする人たち)が、医療機関の正式な職員として、有給で活動するという事例が出てきました。これは、医療という場面において、感情的ケアによる癒しの効果や、生の声を聴き活かしていくことが治療の質を上げていると認識されてきたためだといわれています。そのため、日本の中でも少しずつ認知され始めています。また、若い世代はSNSを活用し、上手に仲間や情報を見つけるようになってきています。しかしながら、ガンなど罹患率が高く、ピアコミュニティの必要性も大きい高齢者は、内に篭ってしまったり、SNS等の活用も難しく、必要な情報が届かない現状があります。医療の補填的サポートとしても、わかりやすく情報や場を提供していくことが、これから益々重要視されてくるでしょう。

 

まとめ

ピアコミュニティについて、ご紹介してまいりましたがいかがでしたでしょうか?普及にはもう少し時間がかかるかもしれませんが、人が心と心を通わせ安心してつながり合える環境、励まし支え合える場、そして医療の質もQOLも上げるフィールドとして、今後ますます重要になってくるピアコミュニティ。クリラでは今後も、ピアコミュニティの情報が必要な方にお届けできるよう、国内ピアコミュニティのご紹介、設立中の情報などお届けしたいと思います。必要な情報が、必要な方にいち早く届き、困ったいる方々が一日も早く心の平穏を保てるよう、 そして、欲しい情報を探すための発信と同時に、コミュニケーションを形成していくということの応援もできるよう努めていきます。病気やそのその症状で困っていることや、もっと広く情報が欲しい、心の平穏を保ちたいという場合は、ぜひ、病院にピアコミュニティの存在を問い合わせたり、SNS等で調べたり、当サイトなどで、ご自身の納得のいくコミュニティを見つけて頂きたいと思います。

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