再発性多発軟骨炎(RP)|clila疾患情報

【目次】

1.再発性多発軟骨炎(RP)とは
2.再発性多発軟骨炎(RP)の原因
3.疫学的整理
4.再発性多発軟骨炎(RP)の症状
5.検査所見
6.再発性多発軟骨炎(RP)の診断基準
7.再発性多発軟骨炎(RP)の治療
8.再発性多発軟骨炎(RP)の経過
9.日常生活の注意

 

1.再発性多発軟骨炎(RP)とは

 再発性多発軟骨炎(RP) は、主として耳介および鼻の軟骨に生じる炎症性疾患です。このほか、全身の軟骨組織が侵される可能性があり、眼、気管・気管支、心臓弁、腎臓、関節、皮膚や血管にも病変を生じることもあります。急性の疼痛や発赤は耳介軟骨にもっともよくみられ、耳介軟骨が破壊されて線維性組織に置換されます。診断には臨床症状、検査所見や画像所見のほか、生検による組織所見が必要となることもあります。

 

2.再発性多発軟骨炎(RP)の原因

 原因としてはII型コラーゲンに対する自己抗体の関与が考えられていますが、陽性率は33〜50%にすぎないことから、病因としての意義は確立されていません。関節リウマチや全身性エリテマトーデス、血管炎、ベーチェット病、橋本病などの合併が多いことから、自己免疫疾患と考えられています。

 

3.疫学的整理

 まれな疾患とされているが見過ごされている可能性もあります。発症は中年期で、男女比はないとされます。遺伝性はありません。

 

4.再発性多発軟骨炎(RP)の症状

 全身の軟骨炎を生じます。進行例で支持軟骨の破壊に至ると、垂れ耳、鞍鼻、漏斗胸,ならびに視覚、聴覚,および前庭の異常をきたします。

1)耳介軟骨炎

もっとも多い症状であり90%ほどの方にみられます。耳介の発赤、熱感、腫脹、圧痛が突然生じ、細菌感染による蜂窩織炎と間違えやすいですが、耳垂には症状がないのが特徴です。

2)鼻軟骨炎

軟骨炎を繰り返す間に正常の軟骨構造が破壊されて線維化し、鞍鼻変形を生じます。

3)関節炎

関節痛から対称性または非対称性の非変形性関節炎まで様々な関節炎(大小の関節を侵し,肋骨肋軟骨移行部および膝関節に好発)を生じます。

4)眼症状

眼症状を約半数に認め、強膜炎、上強膜炎、結膜炎、ブドウ膜炎が中心ですが、まれに視神経炎を伴い重症化することがあります。

5)気道障害

声のかすれ、無声、呼吸困難などを生じます軟骨に高度の障害を生じると気道閉塞を生じることがあります。

6)その他

蝸牛・前庭障害の症状として、難聴、めまい、ふらつき、吐き気などが起こります。心血管系(大動脈弁逆流症,僧帽弁逆流症,心膜炎,心筋炎,大動脈瘤,大動脈炎など)、皮膚症状、血管炎などが起こりえます。急性期には発熱、全身倦怠感、体重減少といった全身症状を伴うことがあります。

*主な症状の頻度

耳介軟骨    78%
蝸牛・前庭障害 27%
鼻軟骨     39%
気道      50%
眼球      46%
関節      39%
皮膚      11%
心臓      7.1%
神経系     9.6%
腎臓      6.7%
造血器     2.1%

 

5.検査所見

 特徴的な検査所見はありませんが、炎症反応の上昇や白血球増加がみられます。1/3〜1/2の方の血中にII型コラーゲン抗体が認められます。

 また、抗好中球細胞質抗体(ANCA)がみられることがあり、特にC-ANCA陽性の場合、この抗体を特異的所見とする多発血管炎性肉芽腫症(以前はウェゲナー肉芽腫症)とのオーバーラップ、異同が示唆されます。

 病理組織学的には軟骨の正常な構造が失われ、炎症細胞浸潤がみられます。時間の経過とともに正常軟骨構造の破壊と線維性組織に置き換わるという特徴像がみられるようになります。軟骨の形が高度に障害されると、耳のカリフラワー状変形、鞍鼻、生死に関わる気道閉塞が生じます

 

6.再発性多発軟骨炎(RP)の診断基準

以下の診断基準が用いられています。

マクアダムスの診断基準(改変)

以下の3つ以上が陽性のときに診断する

  1. 両側の耳介軟骨の炎症
  2. 関節軟骨の炎症ß
  3. 鼻軟骨の炎症
  4. 眼球の炎症
  5. 気道軟骨の炎症
  6. 蝸牛あるいは前庭機能障害

基本的には生検(耳・鼻・気管から少量の組織を採取すること)の顕微鏡による診断が必要。診断する際には肺機能検査および胸部CTを含む、上気道および下気道の評価を行うべきである。

 

7.再発性多発軟骨炎(RP)の治療

 主には内科的治療が中心となります。耳・鼻軟骨炎が中心の軽症例では非ステロイド抗炎症薬が用いられることもありますが、多くは副腎皮質ステロイドを必要とします。炎症が強く、呼吸器、眼、循環器、腎臓などの重要臓器に症状がある場合には、副腎皮質ステロイドの中等量〜大量が用いられます。さらに重症例ではステロイドパルス療法も行われます。気道病変がある場合にはメソレキサートなどの免疫抑制剤の併用、生物学的製剤(TNF阻害剤)の効果も認められています。

 経過とともに正常軟骨構造の破壊と線維性組織による置換という特徴像がみられるようになるため、気道病変が高度の場合には気管切開や、気管に合わせて筒状の物体を挿入しその強度の増強を図る、ステント療法などの外科的治療が用いられることもあります。陽圧をかけられるマスクを使用するBIPAPという治療法もしばしば行われます。その他の進行した臓器病変(動脈瘤、弁膜症など)に対しては手術療法も行われます。

 

8.再発性多発軟骨炎(RP)の経過

 経過には個人差があり、再発はしばしばみられますが、頻度や重症度はいっていしません。急性軟骨炎は数週間ないしそれ以上続くこともあります。組織破壊や線維化がどの程度おこるかを初期から予測するのは難しいとされます。

  治療法も進歩し、重症化する割合は減少しています。8年後の生存率は94%であり、死亡原因は喉頭や気管の破壊または心血管系の合併症によります。

 

9.日常生活の注意

 炎症の部位によって異なりますが、基本的には炎症をなるべく避けるということになります。気道病変は刺激に対する過敏性が高いため、気温・気圧・刺激物質の暴露といった外的環境の急激な変化や、風邪を含む呼吸器感染症を避けるための注意が必要です。

 また、耳介・鼻軟骨炎や皮膚病変といった体表に近い部位での炎症は、物理的・化学的な擦過等の刺激にも注意を要します。心臓や中枢神経障害での予防には困難な点もありますが、中高年以上の方ではいわゆる生活習慣病の合併に対する注意も必要です。

 

永井 弥生   皮膚科医  皮膚科医として群馬大学病院准教授まで務め、豊富な経験を持つ。その後、医療安全担当者として大きな問題となった医療事故を発覚させ、3年半に渡って担当。医療者と患者の間のコンフリクト(苦情・クレーム・紛争等)対応の第一人者として、講演や研修などを行う。2017年オフィス風の道を立ち上げ、医療者と患者を繋ぐための活動を開始。皮膚科医としても群馬県内の病院にて診療している。

 

<リファレンス>

難病情報センター 再発性多発軟骨炎(指定難病55)

https://www.nanbyou.or.jp/entry/3856

 

聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター

http://nanchiken.jp/

 

再発性多発軟骨炎患者会ホームページ

http://horp-rp.com/index.php

 

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