シミとは|clila疾患情報

【目次】

1.「シミ」とは?
2.肝斑の症状
3.原因とメカニズム
4.治療
5.対策(民間療法)
6.予防
7.鑑別疾患と治療
8.注意すべき鑑別疾患

 

1.「シミ」とは?

 顔面に加齢と共に出現してくる「シミ」は気になるものです。

「シミ」というのも俗称であり、代表的なものは「肝斑」ですが、実はいろいろな疾患を含めてしまっているかもしれません。肝斑の他にも雀卵斑、老人性色素斑、太田母斑、後天性真皮メラノーシスなどがあり、診断によって治療も異なることがありますので注意が必要です。

また加齢による多くの「シミ」は治りにくいので、遮光などの予防も重要です。

 

2.肝斑の症状

 ここでは代表的な「シミ」である「肝斑」について解説します。

 肝斑は30歳以降の女性に好発します。顔面に左右対称性に生じる淡褐色班で、大きさは様々であり、特に額、頬部、口囲に多くみられます。目の周りを避けて、目を縁取るようにみられることもあります。

紫外線により夏季に悪化することもあります。妊娠を契機に発症することもあり、妊娠性肝斑といいます。

 

3.原因とメカニズム

 性ホルモンや副腎皮質ホルモンの異常がメラノサイト(表皮内にあるメラニンを産生させる細胞)を活性化させると考えられています。

 

4.治療

1)内服薬/外用薬

 肝斑の代表的な治療は内服薬のトラネキサム酸です。市販でも購入することができます(トランシーヌ)。

 トラネキサム酸は色素沈着抑制効果をもちます。ビタミンCやハイドロキノンなどの美白外用剤と組み合わせることもあります。

 皮膚には角層などのバリア機能がありますが、外用薬はバリアを通過してメラノサイトに到達します。内服薬の場合、その有効成分は血流にのって皮膚のすみずみまで届けられ表皮の深いところにあるメラノサイトに作用して効果を発揮します。

 トラネキサム酸の効果は4〜5週間が目安です。色素の状態が変わると、周囲の皮膚との関係で、かえってシミが目立つように感じることがあるかもしれませんが、焦らず続けましょう。

2)レーザー治療など

 シミ治療は、シミのもとでらるメラニンや、メラニンを作り出すメラノサイトに働きかけることです。レーザー治療はメラニンを含む細胞を破壊し、ケミカルピーリングは皮膚のターンオーバーを促進させてメラニンの排出を促します。これらの治療は保険適用外のものもあります。

 

5.対策(民間療法)

 シミにはこれが効く!というたくさんの情報があります。だれでも手に入るもの、購入できるものがたくさんありますが、それだけに自分でも考えて決めることが必要です。

 民間療法とは異なりますが、美白効果があるとされる化粧品もたくさんあります。数年前に、化粧品のロドデノールという成分によって皮膚の色がまだらに抜けてしまうということが起こり、大きな社会問題になりました。一生消えないまだらな皮膚になってしまった方がたくさんいます。化粧品の効果を検証するデータは、薬品ほどには強く要求されないかもしれません。しかし、誰でも手に入るものだからこそ、その安全性については発売前に厳しく検証されたはずです。それでも、こんなことが起こるのです。製造・販売者の責任はもちろんですが、消費者も賢くなることが求められます。

 さて、世の中には様々な「民間療法」と言われる「シミ消し」に効果のある方法もあるようです。たとえば食品を使ってつくるパック、「こんなのがあるって聞いたんですけど本当ですか?」「使ってみてもいいですか?」と患者さんに尋ねられることもあります。

 しかし、医師の立場としては「それはいいですよ」とは言わないようにしています。きちんとした医学的データに基づいた効果ではないもの、安全性が確かめられているわけではないものを勧めることはできない、「医師が勧めた」ということは医師としての責任を持つということになるからです。すべてを否定するわけではありません。効果があるものもあるでしょう。自分でも使ってみることもあります。硫黄泉、酒粕、麹、ヨーグルトやお茶、こういったものは問題が起きるリスクは少ないでしょう。硫黄は合わない方もいるかもしれません。ちょっと試してみてもよいですが、あくまで自分の責任です。

 やたらに宣伝しているもの、高額な商品などはお勧めしません。試してみる、効果がなければすぐやめる、柔軟に考えてください。情報があふれる時代です。冷静に客観的に情報をとらえて判断する、様々な視点から学ぶ、アドバイスを受けるのは良いですが、最後は自分の責任、賢い消費者になることが必要です。

 

6.予防

 シミを減らすためにも、治療後の効果を維持するためにも、日焼け止めを使うなど遮光の注意は必要です。

 

7.鑑別疾患と治療

 俗称である「シミ」には、様々な疾患が含まれます。適切な診断、治療が必要ですが、これらの「シミ」はしばしば混在して生じることもあります。肝斑はレーザー治療で悪化することもありますので、肝斑が疑われるときにはこちらの治療を優先します。

 また孤立した黒色調の目立つ皮疹がある場合、悪性腫瘍も鑑別が必要となります。皮膚がん、特に悪性黒色腫の初期は鑑別が難しく、皮膚科専門医の受診の上でダーモスコピーによる診察、治療方針などを検討する必要があります。

 

1)老人性色素斑

 ほとんどの中年以降の男女に出現します。いわゆる「加齢によるシミ」です。主に顔面や手背、前腕神速などの露光部において、類縁径で大小様々の褐色斑が出現します。治療はアレキサンドレーザー照射や凍結療法などを行います。

2)雀卵斑(そばかす)

 5歳ころより顔面、頸部、前腕などの露光部に、直径3mm程度の類円形、表面平滑な褐色色素斑が多発します。特に夏の日光により色調が濃くなり、冬季には消退傾向となる。加齢により増悪し、思春期に最も顕著となるが、以後色調は薄くなる。多くは家族内発生であり優性遺伝と考えられています。幼児期より日光暴露による顕著な悪化を認める場合には、色素性乾皮症の除外が必要です。

3)太田母斑

 顔面の三叉神経第1枝・第2枝支配領域(眼裂、眼瞼、頬骨部、側頸部、頬部)に片側性に生じます。色調は単一でなく、全体として淡青色を呈し、その中に青色、褐色の小さい点が多発します。Qスイッチレーザーが著効します。

4)後天性真皮メラノサイトーシス

 額両端、頬骨部などに灰褐色の径3mm程度までの点状色素斑が多発、思春期〜中年の女性、特に日本人や中国人に好発する。Qスイッチレーザーが著効します。

 

8.注意すべき鑑別疾患

 また孤立した黒色調の目立つ皮疹がある場合、悪性腫瘍の鑑別が必要となります。

 皮膚がん、特に悪性黒色腫の初期は一見では鑑別が難しく、皮膚科専門医の受診の上でダーモスコピーによる診察、治療方針を検討する必要があります。

 

永井 弥生   皮膚科医  皮膚科医として群馬大学病院准教授まで務め、豊富な経験を持つ。その後、医療安全担当者として大きな問題となった医療事故を発覚させ、3年半に渡って担当。医療者と患者の間のコンフリクト(苦情・クレーム・紛争等)対応の第一人者として、講演や研修などを行う。2017年オフィス風の道を立ち上げ、医療者と患者を繋ぐための活動を開始。皮膚科医としても群馬県内の病院にて診療している。

 

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